客も店も得?“月額サービス”広がるワケ
いま、飲食店で、ひと月に決まった料金を払えば食べ放題、通い放題という“月額サービス”を行うところが増えている。ラーメン店にカフェ、フレンチまで、続々と広がるワケを取材した。
■飲食店で広がる“月額サービス”
都内のラーメン店「野郎ラーメン」は、たっぷりの野菜と肉厚のチャーシューがのったボリューム満点のラーメンが自慢。
こちらの店で先月から始めたのが、「1か月定額」のサービス。アプリで登録し月額8600円(税別)支払うと、3種類のラーメンから1日1杯、月に何度でも食べることができる。一番安い780円のラーメンでも月に12杯食べれば元が取れる。中には毎日訪れる利用者もいるという。
客にはお得な月額サービス。店はなぜ始めたのか。
野郎ラーメン新橋駅前店 保科武見店長「週に1回とか週に2回というお客様を、月に12回以上呼ぼうというところで月額制を実施したので、その効果は出ています。赤字覚悟という形なんですけれども、新規のお客様とかもいらしてもらっているので、全体的には利益は上がっています」
月額サービスはネットなどでも話題となり、新しい客が増えて売り上げアップにつながっているという。
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1日数杯飲む人もいるコーヒー。都内のカフェ「コーヒーマフィア」では、去年から1杯200円のコーヒーが月額2000円で飲み放題になるサービスを提供している。来店1回につきコーヒーが1杯頼め、一日に何度来店してもOK。テイクアウトでも利用でき、月10杯以上頼めば元が取れるお得なサービスだ。
コーヒーマフィア 野崎陽介店長「コーヒーを買いに来ていただくことで、来店の数がすごく伸びておりますので、来店に加えて何かお食事を買っていただいたりとか、そういうところでも利益が出ているというところですね」
コーヒーを買いに来る人がフードメニューをついで買いする、うれしい効果も。さらに、売り上げが安定することも月額制のメリットだという。
コーヒーマフィア 野崎陽介店長「特に飲食店は天候に左右されたりとか、晴れの日は来るけど雨の日はお客様が少ないとか。そういったことも月額のサービスによって安定した収益は得られる形にはなっていますね」
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東京・六本木にある会員制のフレンチレストラン「プロヴィジョン」。創作フレンチとおよそ80種類のワインが楽しめる。こちらのお店も、今年10月から月額サービスを導入している。
プロヴィジョン店主 品治典明さん「もう一品食べたいな、もう一杯飲みたいなってときに、お財布を気にするときが多分出てくるんですけど、そのストレスが解消されるので、せっかくだったらもう一品食べようかなって、どちらかというとポジティブな方でみなさん帰られてると思います」
月額サービスを導入する前の客単価は8000円程度だという。月額サービスを利用すると、月に1万5000円(税別、一部追加料金あり)支払えば、何度でも来店できて料理やワインを味わえる。月額3万円(税別)払えば4人まで通い放題となるプランもある。
※会員になるには紹介が必要
■企業でも取り入れる動き
一方、食べ放題ではないが、月額のサービスを企業が取り入れる動きもある。
都内の会社およそ30社で導入されている「シャショクラブ」は、月額で購入したポイントを使って職場にランチを宅配してもらえるサービス。
和食や丼など、メニューごとにポイントが設定されていて、従業員はウェブ上でメニューを選ぶ。特徴は、月額料金の一部を会社が負担してくれるということ。
いくつかプランがあるが、およそ20食分のポイントを購入できる月額9820円のプランでは、会社が福利厚生で最大3500円まで負担する。その場合、従業員が支払う額は月額6320円からとなり、500円相当のランチを300円ほどで食べることができる(すべて税別)。
このように、企業の福利厚生にも月額サービスが利用されている。
■なぜ飲食店まで?
飲食店からすれば、注目されることで新たな客を獲得できたり、客の囲い込みができたりとメリットも大きい。
そして最近は、違う飲食店同士のコラボも見られる。牛丼の吉野家とはなまるうどんが、共同で300円の「はしご定期券」を発売した。期間限定だったが、牛丼などは80円引き、うどんは天ぷら1品が無料だった。
狙いとしては、客層が、吉野家は男性中心、はなまるうどんは女性客が多いので、双方の店を行き来してもらおうというものだった。売り上げが伸びたそうで、今後もこのサービスを検討しているという。
■“月額サービス”は飲食店以外でも
最近は、高級品でも始まっている。「KARITOKE」では、エルメスやブルガリなど20万円以上する高級ブランドの腕時計が、1か月3980円~(税別)で借りられるという。
渋谷の代官山にあるネイルサロン「RUBY&ONYX」では、凝ったデザインや長さ出しも含め、何度行っても月額1万4800円~(税別)というサービスを始めた。
■世界で先行する“月額サービス”
さらに、海外ではさらに大規模なサービスも。サーフエアという会社では、例えばアメリカ西海岸のロサンゼルスとサンフランシスコの間などが乗り放題のプランで1か月およそ22万円($1950、初期費用除く)となっていて、ビジネス客にとってはお得かもしれない。
■“月額サービス”プラス?マイナス?
消費者にとっては値段が一定でお得感もあるので、プラス。ただ、料金は先払いし、期待ほどのサービスを受けられない場合や解約が面倒なケースなどマイナスもあるので、注意が必要だ。