バスにも人手不足の波…減便で「1日4本」も 女性が働きやすく…“体験会”など運転手を確保する動きも
人手不足の波がバス会社にも押し寄せています。バスの運行本数を減らさざるを得ず、市民の生活に影響が出ているといいます。こうした中、「運転体験会」を行うなど、あの手この手で運転手を確保する動きも出てきています。
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8日午前、東京・中央区で猛ダッシュをする男性に出会いました。
海外旅行へ行く男性
「11時46分のバスに乗るの『晴海ライナー』」
この後、海外旅行に出発するため、バス停で時刻表の確認をしたといいます。実は約2週間前、東京駅まで行くバスの本数が減便になっていました。
海外旅行へ行く男性
「1時間に2本しかない」
乗り遅れると、次にバスがくるのは約30分後となるため、準備をした上で1時間後のバスに遅れないよう確認していたのです。
東京・葛飾区では、バス停にいた女性3人組に話を聞きました。
路線バスで通院(80)
「足も腰もみんな悪いのよ」
これから治療のため、病院まで路線バスを使って行きたいといいますが、バスの本数が少ないということです。
路線バスで通院(80)
「(路線バスは)1日4本だもの。これ逃したらどうしようもない」
実は、周辺の住宅街をまわりながら、亀有駅や金町駅などを通る路線バスの一部区間が運行休止になっていました。80歳の女性は、自宅から2キロほど離れた金町駅へ向かい病院に行きたいのですが、歩いて行くと30分近くもかかるというのです。
今も運行する別会社のバスで駅へ向かいましたが、本数が非常に少ないため苦労していました。
路線バスで通院(80)
「大変よ、もうちょっと(バスが)ほしい」
なぜ運行休止になってしまったのか、この路線を運行するバス会社に聞きました。
日立自動車交通・運行部 岩崎弘幸さん
「今、とにかく人手不足が顕著」
ほかの業種よりも労働条件が厳しいイメージがあるため、若い世代の応募が年々減少。さらに運転手の高齢化もすすみ、深刻な人手不足になっているというのです。
日立自動車交通・運行部 岩崎弘幸さん
「(運転手不足で)バスの運行本数を維持できないところに今、直面しています。(運行本数が)一番多かった時と比べると4割、5割以上は減ってる」
そこで――
日立自動車交通・運行部 岩崎弘幸さん
「女性ドライバーの積極的な採用を行っていまして」
女性専用のパウダールームを去年、新たに設置したり、働きやすい時間帯の勤務にしたり、女性の運転手を確保しようと試みています。
日立自動車交通 女性運転手
「家事と仕事両立できますね。だから、どんどん飛び込んで来てもらいたい」
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日本バス協会の調査によると、運転手が不足しているという全国のバス会社は約8割に上ります。
北海道札幌市のバス停には、乗務員不足によるバスの減便や運休を知らせる案内が掲示されていました。
ジェイ・アール北海道バスでは、一部区間のバスを今年2月から3月末まで減便。4月にダイヤ改正して減便はなくなったものの、今も人手不足は続いているといいます。
なんとか人材を確保しようと、函館市のバス会社は「運転体験会」を行っていました。この日、参加していたのは、普段は郵便配達の仕事をしている男性です。
郵便配達員
「お客さんを乗せて貢献できるということで魅力ですね。ぜひバスのほうに転職したいと思います」
あの手この手で、運転手を確保する動きが広がっています。