×

日韓関係 13年の展望

2013年1月4日 2:50

 12年12月の韓国大統領選挙で勝利し、次期大統領の座を手にした朴槿恵氏。朴次期大統領は、日本は重要な友好国で未来志向の関係が必要だとしており、政権発足後は冷え込んだ日韓関係の修復を目指すものとみられる。

 一方、安倍首相も関係改善に意欲を見せている。「竹島の日」の式典を政府主催で行うことを見送った他、1月4日、朴次期大統領のもとに特使を派遣する。また、「従軍慰安婦」問題で旧日本軍の関与を認めて謝罪した「河野談話」について、菅官房長官は「外交問題にするべきではない」と述べ、見直しに慎重な姿勢を示した。韓国の反発を考慮した形だ。

 こうした動きについて、韓国政府の関係者は「安倍首相は現実的な外交を進め、不必要な摩擦を避けるだろう」と安倍首相の外交姿勢に期待を示している。日韓の外交当局者は、安倍政権、朴政権の誕生を関係リセットの機会としたい考えだ。

 しかし、「竹島」や「従軍慰安婦」をめぐる問題が両国間のトゲとなっていることに変わりはない。当選の翌日、朴次期大統領は日本を念頭に、「『正しい歴史認識』を土台に、東北アジアの和解・協力と平和が拡大するよう努力します」と述べた。韓国にとって「竹島」は歴史問題。日本の植民地になる過程で奪われたと主張しているからだ。

 日韓関係に詳しい世宗研究所・陳昌洙日本研究センター長は、「竹島問題についての解決策はあまりない」と指摘した上で、「日韓ともにお互いを刺激しないことが必要だ」と強調する。また、朴次期大統領の父である朴正煕大統領は、旧日本軍の将校だった経歴を持つ。朴次期大統領に対しては「親日派の娘」だとの批判もあるため、国内の世論を意識し、日本に妥協的な姿勢を示すのは難しいのではないかという見方も出ている。

 新政権発足で、日韓関係はすんなりと改善に向かうのだろうか。韓国の外交関係者は「経済や安全保障などで日韓が協力しあえる分野はまだまだ多いので、お互いに知恵を出し合いたい」と話す。しかし、「植民地支配の正当化は受け入れるわけにはいかず、日本の閣僚から韓国を刺激する発言ができれば、日韓関係はまた急速に冷え込むだろう」とクギを刺している。

 韓国では、安倍内閣で入閣した下村文科相や新藤総務相について「保守色が強い」として警戒感も根強くある。韓国は当面、安倍政権の出方を慎重に見守ることになりそうだ。