金総書記がロシア到着 国境の駅…歓迎のレッドカーペット プーチン大統領と会談へ 共通の思惑は「中国へのけん制」?
北朝鮮の金正恩総書記とロシアのプーチン大統領との首脳会談が4年ぶりに行われる予定です。12日夜、金総書記がロシア国境の駅に到着した映像が公開されました。
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朝鮮中央テレビは12日、「敬愛する金正恩同志がロシア訪問のため平壌を出発した」と報じました。金総書記が多くの関係者に見守られながら、特別列車で北朝鮮を出発する様子を放送しています。
韓国統一省によると、軍事分野の担当者が多く随行し、中には科学分野の担当者もいるといいます。
そして、金総書記はロシアへ入りました。日本時間午前11時半ごろ、NNNのカメラが23両つらなる列車を捉えていました。いずれかの車両に、金総書記が乗っていたとみられます。
ロシア側のSNSで日本時間12日夜に公開されたのは、金総書記がロシア国境のハサン駅に到着した映像。笑顔で列車を降り、音楽で歓迎されると、ロシアの関係者らと共にレッドカーペットを歩いていきました。
4年ぶりに行われる予定のプーチン大統領との首脳会談に向け、平壌を出発してから列車での長旅。当初、プーチン大統領のいるウラジオストクに向かっているとみられていましたが、その後、ロシアメディアはハバロフスクで歓迎準備が進められていると伝えていました。
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こうしたなか、ウラジオストクで開催された国際経済会議に出席したプーチン大統領は、記者から質問を受けました。
――ボストーチヌイ(宇宙基地)に行かれるという話がありますが何をする予定ですか?
ロシア プーチン大統領
「そこ(ボストーチヌイ)では大事な予定がある。そこに行けばわかる」
プーチン大統領が“大事な予定がある”としたロシア・アムール州のボストーチヌイ宇宙基地。プーチン政権が新たな宇宙開発の拠点として建設した場所です。
軍事に詳しい笹川平和財団上席フェローの小原凡司さんによると「ロシアと北朝鮮の間に軍事協力、特に宇宙関連技術に関する協力を強化することをアピールするには最適な場所」だといいます。
ただ、ここで首脳会談が行われるかはわかっていません。
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4年前の2019年、2人が初めて顔を合わせた首脳会談では、笑顔で握手をしていました。
ロシア プーチン大統領(2019年)
「朝鮮半島情勢の打開に向けて2国間で何ができるのか、(首脳会談で)よりよく理解できると信じる」
北朝鮮 金正恩総書記(2019年)
「今後、共同で調整・研究するにおいて、とても意味のある対話になると考える」
このときの会談は予定を延長して2時間行われました。
両国の関係強化によって懸念されるのが、日本を含めた周辺地域の安全保障に与える影響です。小原さんは、“両国には共通の思惑がある”と指摘します。
笹川平和財団 小原凡司上席フェロー
「“中国に対するけん制にもなる”と考えている可能性があると思います。ロシアは本当は中国から大規模な軍事支援がほしいが、中国はこれに応じていません。また、北朝鮮としても中国からより大きな支援を引き出すためにロシアと協力を深めると」
「今回は(前回と違って)ロシアが北朝鮮の支援を必要としている。そういった状況を鑑みれば、ロシアと北朝鮮の軍事協力はさらに進む。それを首脳間で象徴的に発表する可能性が高いと」
(9月12日放送『news zero』より)