CO2排出量をプラマイゼロに!? コロナで世界の人気観光地で起きた“異変”と、「CO2を増やさない」楽しくて地球にやさしい阿蘇の旅
「旅行において、サステナビリティが非常に重要だ」。そう答えた日本の旅行者は、82%にのぼっている。娯楽である旅行においても持続可能性が求められる現代、創業117年、日本で最も歴史のある旅行会社の日本旅行も、サステナブルな旅を提案している。
■コロナ禍で観光地の環境が改善?
新型コロナの流行によって、旅行に行きづらくなって久しい。一方で、コロナ禍で世界中の人気観光地にはある変化が起きている。
たとえば、ハワイ・ハナウマベイ。9ヶ月の間、観光客が立ち入り禁止となったことで、水の透明度がおよそ60%改善。サンゴも健康になり、色がきれいになった。水の都ベネチアでは、長年観光客の捨てたポリ袋やゴミが問題となっていた。しかしコロナ禍を経て、運河がきれいになり、小魚やシラサギなどの生物も戻ってきたという。
楽しい一方で、環境にも負荷をかけてしまう旅。この事実に、旅にためらいを覚える人もいるかもしれない。そこで国内大手旅行会社の日本旅行は、楽しみながら環境にも配慮した新たな旅のプランを提案している。
■カーボン・オフセットでCO2排出量をプラマイゼロに
今回、日本旅行SDGs推進チームマネージャー椎葉隆介さんに紹介していただくのは、「大草原を馬で駆け抜ける!CO2を増やさない阿蘇の旅」。番組では、ゲストのお笑い芸人・ミキの昴生さんに旅行を疑似体験してもらった。
なんばグランド花月で仕事を終えた昴生さん。新大阪駅から新幹線で熊本に向かう。移動中、昴生さんがするのは、スマホのゲーム。某有名ゲーム風の画面が映る。その名も「エコロジークエスト」だ。
「参加者が地球に優しい旅をより身近に感じてもらうために、ツアー専用のスマホゲームをつくりました。最初に見えるのは、荒廃した土地。旅行者はクイズに答えることで、この土地に緑を取り戻してもらいます」
ここで問題の一例を紹介。「環境に優しい方法で熊本まで移動するには?」という質問。飛行機、新幹線、バス、自家用車と選択肢が並ぶ。正解は、昴生さんが“今乗っている”新幹線。正解を選ぶとポイントがもらえ、ゲームの中の世界に緑が増えた。
椎葉さんに、ゲームを作った背景を伺った。
「これからの旅行は、学びが大事になると思います。お子様連れや修学旅行生などに楽しんでもらい、学びのある旅を演出したいですね。また、こうしてアプリにすることで、パンフレットを配るよりもコストも削減でき、環境にも配慮できます」
そして2日目。旅のハイライトである「千年の草原ホースライディング」に出発する。実はこの体験と、夜の星空ウォッチングの料金の一部は、「カーボン・オフセット」に充てられるという。カーボン・オフセットについて、椎葉さんに解説してもらった。
「今回のプランで、新大阪から熊本までの往復と滞在中のレンタカーによる移動で排出されるCO2は、鉄道の移動が25kg、レンタカーが25kgの計50kgです。この50kg分のCO2をプラマイゼロにできる金額を料金の一部として組み込み、その金額は熊本県の森林整備に充てられます」
環境への負荷が不安である旅行者にとっても、プラマイゼロになるのはうれしい仕組み。楽しみながら、訪れた地域の環境に貢献できる。
最終日の3日目。道の駅でお土産選びに頭を悩ませる。ここでも環境に優しい取り組みが。スマホのクイズに全問正解し、かつマイバッグ持参をすると、クッキーがプレゼントされるという。
行った”つもり”の旅を振り返って、昴生さんからも感想が寄せられた。
「実際に行ってみたいですね。旅行に行って、地球にも優しいのはすごくお得だと思います」
■環境に優しい旅のカタチ
日本旅行では、ほかにもSDGsにつながる旅行プランを提供。たとえば八重山諸島では、深刻な海洋プラスチック問題を少しでも解決するために、地元の人と一緒に行うビーチクリーンを旅行に組み込んだプランを企画。拾ったペットボトルごみを資源化して、オリジナルTシャツを作れるという特典付きだ。新型コロナウイルス感染症の影響で中止となってしまったが、いずれ必ず実現したい企画だという。
CO2の排出を考えると、遠距離の移動は好ましいことではない。しかし、カーボン・オフセットなどの取り組みで、環境に優しい旅を選ぶこともできる。旅のプランを選ぶ際には、サステナブルかどうかも視野に入れてみるといいかもしれない。
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この記事は、2022年2月25日に配信された「Update the world #14 地球も人も“元気になる”旅のカタチ」 をもとに制作しました。
■「Update the world」とは日本テレビ「news zero」が取り組むオンライン配信番組。SDGsを羅針盤に、社会の価値観をアップデートするキッカケを、みなさんとともに考えていきます。