無花粉スギの富山でも…花粉症対策に新しい希望 舌下免疫療法
スギ花粉の飛散が続き、花粉症の症状に悩まされている方も多いと思います。
その花粉症対策が県内で、花粉をなくすこと、そして正反対の花粉を活用することの双方で進められています。
佐藤アナウンサー
「寒い冬から暖かい季節になるのはうれしいのですが暖かくなると困ったこともあります。杉の木の雄花についたたくさんの花、花粉症を引き起こすスギ花粉です」
富山県森林研究所は3月1日に県内で飛散が始まったと発表しました。
また今年は飛散量が多いと予測される日が目立ち、花粉症患者には憂鬱な日々が続きました。
立山町にある県森林研究所では、花粉症をもとから絶とうと花粉を出さない無花粉スギの開発に取り組んできました。
2007年に「はるよこい」として品種登録。
さらに全国では初めて種子から大量生産し、「立山森の輝き」と名付けて出荷しています。
2024年度の出荷本数はおよそ7万1千本。
これまでの累計はおよそ58万本が全国に出荷されました。
しかし、全国のスギを無花粉スギに植え替えるには、まだまだ気の遠くなるような時間がかかるといいます。
佐藤アナウンサー
「でも、あきらめなくてもいいのです。実はこのスギ花粉を原料として薬が開発され、スギ花粉症の人たちの症状を和らげようという治療が始まっているのです」
スギ花粉を利用した薬の治療とはどんな治療なのでしょうか。
富山赤十字病院 副院長兼耳鼻いんこう科 赤荻勝一部長
「免疫療法といいまして、従来は注射で抗原物質を入れていくという方法です。それで花粉に慣れていくというという方法なのですけども、最近では舌下免疫療法といいまして、 スギ花粉から抗原物質を取り出したものの錠剤を舌下、口の中に入れてそれで免疫療法を行うという方法で少しずつスギ花粉に慣れていくというところであります」
花粉症の根本的な治療と期待される舌下免疫療法の薬に欠かせないスギ花粉。
製薬会社は富山を含め全国で花粉の確保に取り組んでいます。
効果はどれくらい続くのでしょうか。
富山赤十字病院 副院長兼耳鼻いんこう科 赤荻勝一部長
「すぐに効果は表れないので、大体4年から5年、毎日薬を舌下していただきます。そうするとスギ花粉の方の症状を抑えることができるということです。2年目からその改善効果が表れるということなんですけども、しっかり安定して効果を得られるようには、だいたい4年から5年やっていただきたいです」
治療にあたり、注意点もあります。
富山赤十字病院 副院長兼耳鼻いんこう科 赤荻勝一部長
「スギ花粉が飛散している時にはこの薬は使用することができません。スギ花粉の飛散が終わったころ、だいたいゴールデンウィークごろから12月ころまでに治療を開始するということがポイントだと思います」
無花粉スギが増産される一方で、薬の原料としての花粉の確保も必要で、これらは林業にとっても活性化につながりそうです。
いずれも花粉症の解決につながる取り組みが続いています。