「ありのままの自分を発信」難病と闘いながら夢に向かう10歳のユーチューバー
難病と闘いながら大きな夢に向かって頑張る男の子がいます。10歳の誕生日を迎え、ありのままの自分を動画で発信する姿を取材しました。
(実況)「入った~!しんちゃんが…」
5月に熊本市中央区で開かれたeスポーツの体験会。一人の男の子が参加していました。プロゲーマーを目指す、「しんちゃん」こと西岡伸一郎くん(10)です。しんちゃんは、10万人に1人が発症するというある難病と闘っています。
しんちゃんは、2014年6月に元気な産声を上げ生まれました。しかし、生後7か月頃から体に異変がみられるようになりました。徐々に寝返りが打てなくなり、1歳の誕生日に、体の筋肉が次第に衰えていく難病「脊髄性筋萎縮症(SMA)」と診断されました。
2歳の時、転機が訪れました。リハビリの一環として医師に勧められたタブレットが、しんちゃんに大きな変化をもたらしたのです。
薬の効果もあって少しずつ手の筋力が回復。今では指を器用に動かし、手元を見ずにコントローラーを操作するまでになりました。
両親と妹と4人で暮らすしんちゃん。週に3日、母の紘子さんの運転で特別支援学校に通っています(2日はオンライン)。
■しんちゃんの担任 西野晃子先生
「じゃあ、きょうのお勉強です。きょうは国語、音楽を2時間目にしています」
4年生はしんちゃんひとりだけ。先生たちは、しんちゃんのペースにあわせて授業を進めます。
■しんちゃんの担任 西野晃子先生
「すごく頑張り屋さんで、例えば何かで負けたとしても、 じゃあ次はこうしようって、すごく前向きなんですよね」
去年10月、しんちゃんは、肺に穴があく気胸を起こしました。それ以降、学校ではペースト状にした給食を胃に直接流し込んでもらっています。
学校生活の中で楽しみなのは、やっぱり休み時間です。1年生の友だちもできました。
■1年生の友達
Qしんちゃんはどう?
「いつも優しいです」
■しんちゃん
「ありがとう」
6月1日。しんちゃんは10歳の誕生日を迎えました。誕生ケーキのろうそくの火を吹き消します。
(がんばれ もうちょっと)
(せーの)
(おめでとう~)
病気と向き合いながら過ごしてきた10年です。
■母 紘子さん
「こんなに元気で過ごせていることが、すごくうれしいです。いろんな人に支えられてきたなっていうのを、改めてしみじみ感じます」
いま、しんちゃんが一番力を入れているのが…。
(母 紘子さん)
「ショート(動画)だからね、いくよ、よーい」
(しんちゃん)
「今年の6月1日で10歳になりました。今年もよろしくお願いします」
2021年に開設したYouTubeチャンネル「寝たきりユーチューバーしんチャンネル」の撮影です。しんちゃんは現在、登録者数3500人のユーチューバーです。撮影と編集は紘子さんが担当しています。
ありのままの姿を通して多くの人に自分の病気を知ってほしい。そのためには。
■しんちゃん
「登録者4000人いきたいです」
10歳のユーチューバー、しんちゃんの挑戦は続きます。