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ミカンが繋いだ愛媛と岩手…高校生が被災地へ届ける“奇跡の物語”

2024年11月18日 17:00
ミカンが繋いだ愛媛と岩手…高校生が被災地へ届ける“奇跡の物語”

13年前の東日本大震災。悲劇の裏で起きていた愛媛と岩手の奇跡の物語。

9月、愛媛の高校生が被災地を訪れました。3人が被災地で感じたこととは。

松山の劇団「みかん一座」が舞台化した“奇跡の物語”

これは、この夏私たちが東日本大震災と向き合った物語。私たちはせま、葵、あすかのJK。高校2年の私たち3人は松山市の劇団「みかん一座」で出会った。

東日本大震災の時は3歳。もちろん、その時の記憶はない。そして特に触れることなく生きてきた。そんな私たちがこの夏、舞台で東日本大震災を題材にした物語を演じることになった。

あすかさん:
「(東日本大震災は)テレビとか新聞で聞いた話しか分からないので…」
せまさん:
「分からないのでやっぱり地震にあった人の動画とかをいっぱいユーチューブとかで調べて見て、気持ちを考えて演じるようにしています」

1つ目の奇跡。地震の2時間前に岩手県宮古市のポストに投函された、田老第三小学校3年の4人の児童が描いたかまぼこ板の絵が震災をくぐりぬけ、地震の8日後、1400キロ離れたギャラリーしろかわに届いたこと。

2つ目の奇跡は、ギャラリーしろかわの館長が子ども達を思い岩手に送ったミカン。そのミカンの種が岩手の地で芽吹いた奇跡。

苗木は岩手から愛媛に里帰りし、「復興みかん えがおの木」と名付けられ、西予市明浜町で、ミカン農家さんの手で大切に育てられています。

2年前には、ついに実をつけました。想像を絶する悲劇をもたらした大震災。愛媛と岩手…こんな素敵な繋がりがあったんだ。

8月に2日間の日程で行った公演で私たちは、大切な友達が亡くなるシーンを演じた。

物語のバトン、受け取れたかな。

あすかさん:
「辛かったー。楽しかった」

13年前に届いたかまぼこ板の絵6枚のうちの1枚。電車の絵を描いた佐々木翔太さん。電車の運転手が将来の夢だった翔太さんは夢を叶えて鉄道マンになったんだそう。

9月、公演が終わっても私たちは踊りの練習を続けていた。岩手県宮古市、被災地の人たちに届けるために。

あすかさん:
「この物語(つながる奇跡)を実際に震災を経験した人に伝えられたら良いなって思います」

岩手への旅で 震災の爪痕を目の当たりに

9月21日、岩手県・宮古へ。

あすかさん
「酷い震災があった後の空気感を感じられる旅になるんじゃないかなって思ってます」

震災から13年経った宮古市は、すっかり綺麗になっているように見える。だけどこの場所であの日、確かに震災はあったんだ。私たちは震災の爪痕を見て回った。

陸前高田市にあるこの松は、「奇跡の一本松」。これも、「奇跡」だ。ここには7万本の松林があったけど、津波で流されてこの一本だけが残ったそう。

近くには、津波で水没したユースホステルの跡も残されていた。

せまさん:
「窓は全部割れたんやね、無いってことは」
あずささん:
「でも残っとるのすごいね」

一本松は、復興への希望のシンボルとして大切に守られている。

宮古市では、震災前と現在について市の職員の方が教えてくれた。

宮古市 藤沢宏和さん:
「いろんな地区で防波堤ってあると思うが、あくまでも(逃げる)時間を延ばすため、ということで覚えておいてもらえたらと思います。皆高台に逃げるように区画整備しております」

江戸の昔から何度も津波被害を受けてきた宮古市田老町。

大震災前、田老の町には高さ10メートルの防潮堤が町全体を囲んでいた。だけど、あの日、津波はその防潮堤を超え、町を飲み込んだ。現在は、さらに高い14メートルの防潮堤が建てられている。

被災者の思いに触れて

被災体験を語ってくれた大棒レオ子(77)さん。

せまさん:
「被災した時に一番心の支えになったのは何ですか?」
大棒さん:
「皆さんからの『頑張って、応援してるから』という一言が心に残っています」

あすかさん:
「沢山の想いがあると思うんですけど、その想いを近くで聞いて多くを受け止められていたらいいなと思います」
大棒さん:
「これから若い人が頑張ってやってもらわねば」

夢を叶えて三陸鉄道の運転手になった翔太さんが運転する電車にも乗った。

せまさん:
「震災とかにも負けずに自分の夢を叶えていて、すごいカッコいいなと思いました」

そして私たちは宮古市役所のホールで宮古市の人たちに、松山で公演した舞台の映像を見てもらった。練習した伊予漫才も。

岩手県での3日間が終わり、私たちはそれぞれの「いつも」に戻った。

葵さん:
「商船学科で航海士になりたいです」
あすかさん:
「私は医師になりたいです」
せまさん:
「私は管理栄養士になりたくて済美高校に入りました」

この夏の出来事を胸に生きてゆく。

せまさん:
「(岩手に行って)今生きていること、普通に生きていられることのありがたさをすごく感じられました」

歩いてゆく。

最終更新日:2024年11月18日 17:00
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