国会で“初” ChatGPTで岸田首相に追及
国会で“初”となる、ChatGPTを利用しての質問が出た。質問する相手は、岸田総理大臣。一体、AIが作成した岸田首相への質問とは? そして、岸田首相の答えとは?
■国会で「初」ChatGPTで質問
国会で29日、ChatGPTを使っての質疑が行われました。ChatGPTとはAI技術を利用し大量のテキストデータを学習し質問に答えたり、質問を作ったりする対話式AIソフトです。
ChatGPTを利用して質問したのは、立憲民主党の中谷一馬議員。きょうの衆議院内閣委員会で岸田首相に質問しました。衆参の国会答弁の中で、AIを使っての質問に総理が答弁した記録はなく、国会での「ChatGPT」を利用しての総理質疑は“初”ということです。
■ChatGPT質問に…岸田総理の回答は?
中谷議員がChatGPTに「あなたが、日本の衆議院議員だとしたら、新型インフルエンザ特措法に関して、岸田文雄総理大臣に国会でどんなことを質問すべき」と質問を入力したところ、20秒で以下の質問が生成されたといいます。
ChatGPTの質問
「法案に関して地方自治体や医療現場の関係者の意見を、十分に反映させているのかどうか。そして改正法案に対する関係者の反応について教えてください。」
これに対する、岸田首相の回答は――
岸田首相の回答
「新型コロナ対策については全国知事会、全国市長会等の地方団体や、日本医師会等の医療関係団体とも意見交換をし、今回の法改正は最前線で感染症対応に当たられた医療現場の声を反映しております。」
「法案に対する反応については、全国知事会とは日頃から定期的に意見交換を実施していると承知をしており、例えば政府対策本部長による指揮権が発動される場面、及び要件を明確化すること等の意見・要望いただいているところです。」
中谷議員は、質問の答えについてChatGPTが作成した答弁も用意。岸田首相に対して「岸田総理の答弁と、AI(ChatGPT)で生成した答弁を比較してどうか?」と、どちらの答弁がよいかも質問しました。
これに対して、岸田首相は自分の答弁の方が「より具体的で、実態を反映した答弁だ」とアピールしました。
一方、質問を終えた中谷議員に感想を聞くと「まだAIが作る質問よりも自分が作った質問の方が精度が良いが、議員が作る質問よりスピードが速く、精度が良い内容を作成できるようになるのは、時間の問題」と話しました。
若手議員を中心に質問へのChatGPT活用へ将来的な可能性を指摘する声がある一方、あるベテラン議員からは「ChatGPTに頼っていては、議員の質問力が落ちる」と否定的な意見も出ています。
■「ChatGPT」活用で、官僚の残業削減に効果は?
今、国会では総理・閣僚などの答弁作成にあたる官僚の「深夜残業」問題が大きな課題となっています。
質問自体の提出が遅く、去年の臨時国会では「平均深夜3時」まで(内閣人事局の調査)官僚が「残業」して答弁を作成している実態があるという問題です。
河野国家公務員制度担当相は28日「質問通告が遅い議員や内容を一行しか通告しない議員もいる」と、官僚の「深夜残業」削減に向けて、通常国会での実態について詳細な調査を行う考えを示しました。
「ChatGPT」活用で残業は削減できないのでしょうか?実際に答弁作成にあたっている官僚に取材すると「たしかに、国会は同じような質問が多いので、ChatGPTにパターンを覚えさせれば残業時間は減るかもしれない」と指摘。
一方で「変な答弁が出てきてそのまま答弁資料として提出したら、誰が責任をとるのかという問題は残るかも…」とも一言。
民間では会議などで活用する企業も出てきている、ChatGPT。国会での活用は広がるのでしょうか?