菅官房長官「安全確保は政府の重要な役割」
シリアに渡航しようとしたフリーカメラマンの男性に対し外務省がパスポートを返納させたことについて、菅官房長官は9日、「日本人の安全確保は政府の極めて重要な役割だ」と述べ、適切な措置だったとの認識を示した。
菅官房長官「憲法が保障する報道・取材の自由、また移動の自由については最大限尊重されるべき、これは大前提である。その上にたって政府として、海外に渡航する邦人や海外に在留する邦人の安全を確保する、これも政府の極めて重要な役割だと思っている」
菅長官はまた、イスラム過激派組織「イスラム国」が日本人の殺害を継続すると表明していることなどから、「シリアに入れば『イスラム国』に拘束されるなど生命にただちに危険が及ぶ可能性が高いと判断される」と説明し、適切な措置だったと主張した。同様にシリアへの渡航を計画している人に対しては「個別個別の判断になる」と述べた上で、自粛を要請する方針を示した。
政府サイドからすれば「新たな人質事件を誘発する事態は絶対に避けたい」との考えに加え、こうした異例の措置をとることによって「危険が伴う地域に邦人が入ることを、今後もできるだけ抑止したい」との思惑がにじんでいる。