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首相「拉致」早期解決訴える 日米首脳会談

2018年6月8日 10:59

史上初の米朝首脳会談を前に、安倍首相は7日、アメリカでトランプ大統領と会談し、改めて拉致問題の早期解決の必要性を訴えた。トランプ大統領は「北朝鮮側に拉致問題を必ず提起する」と明言している。ワシントンから星真理子記者が伝える。

安倍首相は、日本にとって最重要課題である拉致問題についても、トランプ大統領にしっかりと念押しできた形。

トランプ大統領「安倍首相は拉致問題についてたっぷりと議論した。我々は北朝鮮と必ず議論する。必ずだ」

日本政府関係者によると、1対1の会談では、ほとんどの時間が拉致問題に割り当てられた。トランプ大統領は身を乗り出して安倍首相の話を聞くと、改めて北朝鮮に「拉致問題を提起する」と約束したという。そして、安倍首相自身も、金正恩委員長との首脳会談をすることに初めて強い意欲を示した。トランプ大統領に自ら拉致問題の解決に乗り出す姿勢をアピールする狙いがうかがえる。

一方で、最大の焦点である非核化について、両首脳は、北朝鮮が核兵器の廃棄など具体的な行動をとるまで制裁は解除しない方針で一致した。

安倍首相「(トランプ大統領は)北朝鮮が行動するまで制裁は解除しないと述べておられます。日本の立場も全く同じであり、日米はまさに、完全に一致している」

さらに、安倍首相は、拉致問題や核・ミサイル問題などが包括的に解決に向かえば、北朝鮮と国交を正常化し、経済協力を行う用意があるとの考えを示した。トランプ大統領の方針を後押しする姿勢を示した形。

―Q.米朝首脳会談を4日後に控え、トランプ大統領はどういった姿勢なのだろうか?

トランプ大統領はこの日も北朝鮮への配慮をにじませる発言を繰り返している。

トランプ大統領「『最大限の圧力』の効果は出ているが、もうこの言葉は使わない。これから友好的な交渉に入るからだ」「すべてが完了したら(北朝鮮と)国交正常化もやりたい」

また、現在も「休戦状態」が続く朝鮮戦争をめぐっては、「終戦宣言に署名する可能性がある」と述べ、関係国と協議を進めていると明かした。さらに、会談がうまくいけば、金委員長をホワイトハウスに招き入れる可能性があるとまで言及し、会談自体に前のめりな姿勢を見せている。

制裁の継続で一致しながらも、融和ムードを演出したトランプ大統領。非核化の進め方をめぐって、米朝で具体的な合意に達することができるのかは不透明なままだ。