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【密着】熱中症から命を守る──119番の“最前線” 室内から「助けて…」緊迫の場面も “災害級の暑さ”でひっ迫『every.気になる!』

2024年7月28日 12:39
【密着】熱中症から命を守る──119番の“最前線” 室内から「助けて…」緊迫の場面も “災害級の暑さ”でひっ迫『every.気になる!』

“災害級の暑さ”が続く東京で、熱中症の増加が救急現場をひっ迫させています。東京消防庁の総合指令室では、熱中症を訴える119番通報が続々と入電。新宿などを拠点とする救急隊は、患者の手当てや搬送に追われています。命をつなぐ最前線に密着しました。

■24時間鳴りやまない119番通報

密着したのは、東京消防庁の総合指令室。「消防庁、火事ですか? 救急車ですか?」。指令員たちが、24時間鳴りやまない119番通報に対応しています。

「夫なんですけど、腹痛…急激な腹痛で」という切迫した電話を受けたり、「救急車到着までの間、みなさんで協力して心臓マッサージを続けてください」と呼びかけたり。命を守る仕事は日夜続きます。中でもいま急増しているのが、熱中症を訴える通報です。

通報者
「おばあちゃんがすごく体調悪くて、熱中症かもしれなくて」

指令員
「急病人! 小学生が熱中症のもよう。倒れているもの」

出動要請が増えることで、救急の現場はひっ迫していました。

■「母がエレベーターで倒れて…」

「熱中症ということで“ろれつ”が回らない。12歳の女の子になりまして」。こんな通報が入ると、指令員は「はい、わかりました。救急車向かいます」と応じました。

猛暑が続く東京。7月中旬、救急車などを出動させる指令室では、熱中症の通報が相次いでいました。

通報者
「母が自宅のエレベーターの中で熱中症がひどくなり、2回ぐらい倒れてしまって。意識はある状態なんですけども、立ち上がることができない」

指令員
「今はお部屋の中にいるんですか? それとも、いまもまだエレベーターの中にいるんですか?」

通報者
「いったんエレベーターから廊下の方に出たという感じです」

■過去3年、7月は熱中症の搬送が最多

2021年~23年の東京消防庁管内では、熱中症の救急搬送が最も多いのが7月です。さらに今年は、“災害級の暑さ”に例年より早く見舞われています。

熱中症の増加は救急車のひっ迫につながり、現場への到着に時間がかかる現状もあります。

「到着何分ぐらいですか?」と尋ねられ、指令員が「お待ちください…。いまですね、救急車の要請非常に多くなってまして、10分~15分ぐらい待つことになります」と答えます。

「救急の要請多くなってまして、到着、お時間いただくかもしれませんので…」と伝えることもありました。

■新宿など拠点の「救急機動部隊」に密着

1日に3000件超えの通報がある指令室から出動要請を受ける1つが、新宿などを拠点とする「救急機動部隊」です。助けを求める声に1秒でも早くと、現場へ向かいます。

東京都心の最高気温が36.6℃だった7月22日。密着中に入った要請は、高齢の女性が熱中症の疑いで路上に倒れたというものでした。すぐに現場へと急行します。

取材班が10分後に到着すると、女性がストレッチャーに乗せられていました。救急隊が「救急車の中入りますから」と声をかけます。89歳の女性はスーパーから帰る途中、突然路上で倒れたといいます。

■女性と救急隊、救急車内でのやり取り

女性
「いま何時何分?」

救急隊
「いまはですね、(午後)1時45分」

意識はあるようです。駆けつけた娘(60代)も救急車に乗り込みました。

救急隊
「前に転んだ?」

女性
「うつぶせで」

救急隊
「頭は打ってらっしゃらない?」

女性
「頭は打ってない」

救急隊
「熱中症かもしれないですね。汗いっぱいかいて」

■女性の娘は「涙でそう」と感謝

転んでケガをした手首などの処置をしつつ、救急隊は「ちょっと冷やしましょうか、体をね。脇の下とかに冷たい感じありますかね」と言うと、女性は「はい」と答えました。

救急隊
「自分で起き上がれなくなった?」

女性
「暑くてね」

救急隊
「良かったですね。近くの方が通りかかって助けてくれて」

そして、救急車は近くの病院へ向かいました。救急隊が「もうすぐ病院ですからね」と声をかけます。その後、熱中症と診断された女性。点滴を受け、ケガがあったことなどから入院したといいます。

女性の娘は「(母は)落ち着いて、意気消沈していますけど、(隊員が)絶対に不安にならないように落ち着いて接してくれるので、涙でそうでした」と感謝していました。

■1日以上家の中で倒れていた93歳

この日は東京消防庁管内で142人(速報値)が熱中症で搬送されました。緊迫の場面もあり、家の中から「助けて」という声が聞こえたということで、救急隊が現場に向かいました。

宅配スタッフが「助けて」という声を聞いたのは、93歳の女性が1人で暮らす家でした。救急機動部隊の小暮拓也消防士長は「エアコンは作動しておりませんでした。なので室内が高温環境下でした」と明かします。

熱中症の症状で1日以上、家の中で倒れていたというのです。

「大丈夫ですからね。病院行きましょう」と、救急隊が女性を運び出します。女性は受け答えはできるものの、脱水症状などがあり、入院したということです。

■異例の暑さ…人員と救急車の増強で対応

8月上旬まで、10年に1度レベルの暑さが予想されています。

東京消防庁警防部総合指令室の寺山勇樹消防司令補
「(指令室の)人員を増強して対応したり、救急車の方も増強して対応しております」

(7月26日『news every.』より)