ウクライナのプロバスケ選手 日本での避難生活継続か、それとも…
ロシアによる侵攻から3年。停戦への動きが見え始めた中、日本に避難するウクライナ人も選択を迫られています。
22日に都内で開かれたウクライナ避難者のトークイベント。
イホール・ボヤルキンさん「家族と日本に残りたいです。早く、この社会になじんで、日本で生活し続けたいです」
プロバスケットボール選手のイホール・ボヤルキンさん。かつて、ウクライナの代表にも選ばれ、侵攻開始後は石川県のチームから声をかけられ、来日しました。
日本人選手とともにプレーする日々を送っていましたが、去年1月、能登半島地震で被災。
イホールさん「ものすごい揺れがきて、ベッドが2メートル近く動きました」
さらに、その夏には契約満了となり、イホールさんは仕事と家を失い、支援を求めて東京に移住します。
それから半年以上たった今も所属先が見つからず、一人練習する日々が続いています。
イホールさん「ゴール近くの仲間にパスを出し、シュートにつなげるプレーが得意ですが、いまは一人だからできません」
得意なパスも、今は受け取ってくれる相手がいません。モチベーションを保つことも難しく、日々つのる不安。
イホールさん「こんなに早く引退したくありません」
ウクライナに戻れば、選手としての道がありますが、日本に残ることを選びました。その訳は、4歳の息子、イヴァン君の存在です。
イホールさん「ウクライナは安全では、ありません。子供に恐怖を抱えながら生活してほしくないのです」
最優先に考えるのは、息子の安全。今も東部ドネツク州で、前線から20キロほどの場所に住むイホールさんの父親も――。
イホールさん「攻撃は、どう?」
イホールさんの父「きのうは比較的落ち着いていたけど、着弾する音は聞こえた。今、周りで起きていることを見てほしくない。避難してくれてよかった」
イホールさんは、アメリカとロシアによる停戦交渉に期待を寄せる一方で、停戦したとしても、ウクライナに帰ることは考えられないといいます。
イホールさん「戦争が終わっても、多くの問題が残ります。日本と比べると、ヨーロッパは安全では、ありません。家族にとって戻ることは、いい選択肢だと思いません」
YMCAの調査によると、避難者176人のおよそ9割が「停戦しても日本に残りたい」と考えているといいます。
ただ同時に、およそ4割が日本で就職できていないという現状が。今は支援を受けながら、貯金を取り崩す生活を送っているイホールさんも――。
イホールさん「このままでは難しい部分もあるので、コーチになることも考えています」
日本に定住するために、一度はかなえたバスケットボール選手という夢を「諦める」ことも考えているといいます。
イホールさん「日本で選手として続けたいですが、その選択肢がないなら、どんな形であってもバスケに関わっていたいです」