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トランプ氏が「独裁者」と批判 ゼレンスキー氏は目の上のたんこぶ?“ロシア寄り”発言の背景と思惑は【#みんなのギモン】

2025年2月21日 9:49
トランプ氏が「独裁者」と批判 ゼレンスキー氏は目の上のたんこぶ?“ロシア寄り”発言の背景と思惑は【#みんなのギモン】

アメリカ・トランプ大統領が、ウクライナのゼレンスキー大統領を批判した発言が物議を醸しています。

──トランプ大統領
選挙のない独裁者。ゼレンスキーはもっと早く動くべきだ。国がなくなってしまうぞ。

この発言の背景に何があるのか?今回のみんなのギモンは「トランプ氏“独裁者”批判なぜ?」をテーマに、解説します。

■トランプ氏「独裁者」とゼレンスキー氏を批判 発言の背景は

日本テレビ・菅原解説委員
「まずは、発言をもう少し詳しく見ていきます」

──トランプ大統領
そこそこの成功を収めたコメディアンであるゼレンスキー大統領は、アメリカを説得して3500億ドル(約53兆円)を費やし、基本的に勝てない戦争に突入させた。それは、私が大統領であれば決して、始まることもなかった戦争だ。

ゼレンスキー氏が唯一得意だったのは、バイデン大統領をバイオリンのように操ることだった。

選挙のない独裁者。ゼレンスキーはもっと早く動くべきだ。国がなくなってしまうぞ。

■トランプ氏「ゼレンスキー氏の支持率は4%」発言の真偽は?

菅原解説委員
「トランプ大統領は自身のSNSでも、ゼレンスキー大統領に対して『そこそこ成功したコメディアンがアメリカを説得して3500億ドル(およそ53兆円)出費させた』『勝つことのできない、始める必要のなかった戦争に突入させた』などと述べています」

「この戦争は、3年前にロシア側が侵攻を始めたことがきっかけですので、ちょっと意味がよくわからない部分があります」

「さらにトランプ大統領は、『ウクライナの世論調査でゼレンスキー大統領の順位が低い』とか「『支持率は4%まで落ち込んでいる』とも言っています。ウクライナの研究所が出しているゼレンスキー大統領の支持率を見てますと、ロシアの侵攻が始まった直後の2022年5月ごろは90%あった支持率が徐々に下がり、最新の調査(今月)では57%となっています」

■トランプ氏は“ロシア寄り” ゼレンスキー氏「ニセ情報の空間で生きている」と反発

鈴江奈々キャスター
「トランプ大統領の言っている『4%』はどこから出てきた数字なのでしょうか?」

菅原解説委員
「それが謎なのです。たしかに、当初に比べると下がってきてはいますし、これはウクライナ側の情報なのでわからないところもありますが、それでもトランプ大統領の言う4%とはかなり開きがありますよね。ウクライナのゼレンスキー大統領も19日、こんな反応を示しています」

──ゼレンスキー大統領
支持率4%というこのニセ情報を見て、それがロシアから来ていることを理解しました。残念ながらトランプ大統領は、このニセ情報の空間で生きているのです。

■ゼレンスキー氏は「任期切れ」揺さぶりかけるプーチン氏

桐谷美玲キャスター
「トランプ大統領はロシア側からの情報をもとに話しているのでしょうか」

菅原解説委員
「そこをどう見るか、改めて注目したいのはトランプ大統領の『選挙のない独裁者』という言葉です」

「この場合の選挙とは、大統領選挙のことを指します。たしかに、ゼレンスキー大統領は去年の5月20日に大統領としての5年の任期が既に満了しています。ですが、ロシアとの戦いが続いていることから、現状では選挙はできないとして大統領選の実施を見送っています」

「これに対して先月、ロシアのプーチン大統領が『任期切れで非合法』だと繰り返し主張し、戦争終結の文書に署名する権限がないと揺さぶりをかけているのです。こうした選挙をめぐるプーチン大統領の主張とトランプ氏の発言は、同じライン上にありますよね」

■ウクライナ抜きで…米露が和平向けた“3段階の協議案”

菅原解説委員
「この選挙の話、今後の和平のあり方にも関わってくる可能性があります。というのも、サウジアラビアで行われた、ウクライナ抜きのアメリカとロシアによる高官協議では、和平の道筋をめぐって次の3段階で取り組む案が協議されたとアメリカのメディアが伝えています」

1.戦闘停止
2.ウクライナ大統領選挙
3.最終的な和平合意

忽滑谷こころアナウンサー
「普通は2と3が逆なのでは、と思うのですが」

菅原解説委員
「このアメリカメディアはトランプ政権に近いメディアで、複数の外交筋の話として『ウクライナに新たな選挙を強制することが和平への重要な部分になる可能性がある』と指摘しています。さらに、アメリカもロシアも『ゼレンスキー大統領が再選する可能性は低いと考えている』との見方を紹介しています」

「これはつまり、最終合意はゼレンスキー氏とではなく、できることならロシアの傀儡(かいらい)、つまり親ロシアでプーチン大統領に都合のいい新大統領を選んでその人と交渉しようという話なのです」

■トランプ氏猛批判“ロシア寄り”発言の背景とは

森圭介キャスター
「ウクライナを支援していたアメリカが、今度はロシア側に寄っていってる感じですね」

桐谷キャスター
「なぜここまでトランプ大統領は、ここまでロシア寄りなのでしょうか」

菅原解説委員
「トランプ大統領は今月中にもプーチン大統領と直接会談することをにおわせています。こうした中で、ゼレンスキー大統領を猛批判し始めた背景としては、選挙中に『24時間以内に戦闘を終わらせる』と発言していたこともあり、早くロシアと交渉したい。それに加えて、『巨額のウクライナ支援をさっさと終わらせたい』という気持ちが強いとみられています」

■戦争をさっさと終わらせたい…ゼレンスキー氏は“目の上のたんこぶ”?

「アメリカメディアによるとウクライナへの軍事支援のおよそ半分をアメリカが担っていて、衛星からの情報や通信インフラなどウクライナにとっては『アメリカ頼り』。アメリカの支援がなければ戦い続けるのは難しい状況なのです」

「しかし、トランプ氏はこの戦争をさっさと終わらせたい、交渉を進めたい。ですから、徹底抗戦の構えを崩さないゼレンスキー大統領は、いわば『目の上のたんこぶ』のようになってしまっているのです」

「自らの手でウクライナ和平を実現したという成果を誇示したいとみられるトランプ大統領ですが、一方で、プーチン大統領はなるべく自国に有利な条件を入れこみたい。戦況もロシアに有利な状況にあるため焦る必要はなく、アメリカは足元を見られてしまう可能性もあります」

鈴江キャスター
「もしロシア側に有利な形で決着するとなると、力による現状変更が認められたということになりかねず、世界に与える影響も大きくなりますね」

菅原解説委員
「この戦争の終わり方が今後に与える影響が大きくなってくるのではと思います。『勝利』で終わらせたいプーチン大統領と、『さっさと』終わらせたいトランプ大統領によって、ウクライナはどう対峙(たいじ)するのか。この戦争の終わらせ方により、戦後の世界も変わってくることになりそうです」

(2025年2月20日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)

最終更新日:2025年2月21日 9:49
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