トランプ氏、ゼレンスキー氏を「選挙のない独裁者」と批判 米露が急接近か…背景は?
アメリカのトランプ大統領が、ウクライナのゼレンスキー大統領を「選挙のない独裁者だ」と激しく批判しました。一方、プーチン大統領がトランプ氏について「ドナルドに会えるのはうれしい」と述べるなど、急速に距離を縮めています。
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ウクライナの首都キーウ。日本時間の20日も、街には爆発音が響き渡りました。
ロシアによるウクライナ侵攻からまもなく3年となるなか、戦闘終結に向け、停戦交渉の“仲介役”を買って出たアメリカのトランプ大統領から、驚きの発言が飛び出しました。
アメリカ トランプ大統領
「私はウクライナを愛しているが、ゼレンスキーはひどい仕事をした。彼の国は粉々になり、何百万人もの人々が不必要に命を落とした」
激しく批判したのは交渉相手の1人、ウクライナのゼレンスキー大統領。
アメリカ トランプ大統領
「ゼレンスキー大統領は、そこそこ成功を収めたコメディアンであるが、アメリカを説得して3500億ドル(約53兆円)を費やし、基本的に勝てない戦争に突入させた。彼は選挙のない独裁者だ」
ウクライナを戦闘に突入させたのはゼレンスキー大統領だとし、“独裁者”だと表現しました。
2人の間に何があったのか。
実はこの前日、トランプ大統領は「ゼレンスキー大統領の支持率が4%まで落ち込んでいる」と発言。しかし最新の支持率は57%とまったく異なる数字で、ゼレンスキー大統領は、こう反論。
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「“支持率4%”というこの偽情報はロシアが発信したものだ。残念ながらトランプ大統領はこの偽情報にとらわれている」
こうしたなか、今回のトランプ大統領の発言が出ていたのです。
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2人の間で大きな溝ができるなか、逆に距離を縮めているのがロシアのプーチン大統領。
ロシア プーチン大統領
「ドナルドに会えるのはうれしい。彼も同じだと思う」
“ドナルド”と名前で呼んで、再会を待ち望んでいました。
今、ウクライナ抜きで進められている戦闘終結に向けた協議。アメリカ・FOXニュースによると、アメリカとロシアは和平の道筋を「戦闘停止」「ウクライナの大統領選挙」「最終的な和平合意」の3段階で取り組む案を協議したとされ、トランプ大統領は「非常にうまくいった」と述べています。
特に「ウクライナの大統領選挙」をめぐっては、プーチン大統領が「ゼレンスキー大統領は任期が切れているため合意を結ぶ相手としての資格がない」と主張。そして、今回、トランプ大統領も、「選挙のない独裁者」と批判しています。
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専門家は…。
──「選挙のない“独裁者”」については?
国際情勢に詳しい 慶応義塾大学 廣瀬陽子教授
「戦争中で戒厳令がしかれている。ウクライナの憲法によれば選挙ができない。しかし、そういう状況にロシアのプーチン大統領がつけ込んでいて、(ゼレンスキー大統領は)正当性のない大統領だと、プーチン・トランプ電話会談の時に、プーチン大統領が(トランプ大統領に)吹き込んだと思う」
──今後の“戦闘終結”協議は?
国際情勢に詳しい 慶応義塾大学 廣瀬陽子教授
「もし(トランプ大統領が)ウクライナが戦争を引き起こしたと思っているのなら、より多くの譲歩をウクライナから引き出すことになると思う。ウクライナにとって不利益なことは言わないだろうと期待もあった。それがガラガラと崩れていく。非常に厳しい状況になる」
(2月20日放送『news zero』より)