トランプ大統領が「独裁者」と批判、ゼレンスキー大統領も反論 発言の背景は?
トランプ大統領は演説で、ゼレンスキー大統領を「選挙のない独裁者だ」などと徹底的に批判しました。発言の背景に何があるのでしょうか。
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大統領就任から1か月。連日、驚きの「政策」と「発言」で注目されるトランプ大統領。演説で訴えたのはロシアとウクライナの和平です。
アメリカ トランプ大統領
「ロシアとウクライナ間で起きている“死”を考えてほしい。私たちはそれを終わらせるつもりだ。今週、サウジアラビアで我々のチームが交渉を開始した」
“仲介役”を買って出たアメリカ。サウジアラビアで行われたロシア外相らとの会談について、「とてもよかった」と述べたトランプ大統領。しかし、こんな発言が飛び出したのです。
アメリカ トランプ大統領
「私はウクライナを愛しているが、ゼレンスキーはひどい仕事をした。彼の国は粉々になり、何百万人もの人々が不必要に命を落とした」
批判の矛先は、ウクライナのゼレンスキー大統領です。こう続けました。
アメリカ トランプ大統領
「そこそこ成功を収めたコメディアンであるゼレンスキー大統領は、アメリカを説得して3500億ドル(約53兆円)を費やし、基本的に勝てない戦争に突入させた」
“ゼレンスキー大統領が戦闘に突入させた”とし…
アメリカ トランプ大統領
「選挙のない独裁者だ」
“独裁者”と表現。ウクライナ国民の支持率は「4%」まで落ち込んでいるとしました。しかし、ウクライナの最新の調査では支持率は57%。ゼレンスキー大統領も、黙ってはいません。
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「支持率4%というこのニセ情報を見て、それがロシアから来ていることを理解しました。残念ながらトランプ大統領は、このニセ情報の空間で生きているのです」
トランプ大統領が“ロシアからのニセ情報”に染まっていると反論しました。
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トランプ大統領の再選前から面会するなど、“友好ムード”だった2人。
トランプ大統領
「(大統領に就任すれば)24時間以内に戦争を終わらせる」
ゼレンスキー大統領
「もしトランプ氏が大統領に返り咲いても我々は協力できる」
そこに、ロシアのプーチン大統領は「(ゼレンスキー氏は)任期切れで非合法の大統領だ」と、ゼレンスキー大統領の任期が去年5月に満了していることを、繰り返し主張しているのです。
ゼレンスキー大統領が“ウクライナ抜きで行われる協議は意味がない”と反発すると…
トランプ大統領
「彼はサウジアラビアでの会談に招待されなかったことに、非常に動揺している。望めば会談に参加できたはずなのに」
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なぜ、ゼレンスキー大統領を突き放そうとしているのか?
戦闘を早く終わらせ、和平実現の成果を誇示したいトランプ大統領にとって、“徹底抗戦”の構えを崩さないゼレンスキー大統領は、いわば“目の上のたんこぶ”との指摘もあります。
また、アメリカの一部メディアは、ウクライナ大統領選が行われた場合、アメリカもロシアもゼレンスキー氏が再選する可能性が低いと考えていると報じていて、戦闘終結の最終合意はゼレンスキー氏とではなく、“ロシア寄り”の新大統領を選んで、その人物と交渉しようという狙いだとの指摘があるのです。
アメリカとロシアの思惑通りに、和平への協議が進むのか?
ゼレンスキー大統領は、ウクライナでアメリカの代表団を迎え、話し合いの機会を持ちたいということです。