「平成女児」ブームとは?「ほっぺちゃん」や「セボンスター」が若い世代を中心に“懐かしい”と再注目 変わらない“かわいい”を作り続ける企業の思い──
平成のころに主に女の子から人気を集めたアイテムやキャラクターが、その可愛らしさや懐かしさから当時熱中していた若い世代を中心に再注目され、「平成女児」ブームが広がっています。
変わらず同じデザインで作り続ける背景には、作り手の“かわいい”を届けたいという熱い思いがありました。
◾️“初めてのおしゃれ”を大人になっても楽しめるように...
きょう発売されたこれらのペンダント。
ペンダント入り玩具菓子「セボンスター」を展開するカバヤ食品が、宝石店KARATZとコラボレーションして作られました。
本物の宝石を使用して、大人向けのアクセサリーとして「セボンスター」を再現した「大人のセボンスター」の第2弾です。
中央の宝石の種類や装飾によって、値段が異なり、最も高額なものは128万円するといいます。
最高額のジュエリーの中央には、ピジョンブラッドルビーの大きな粒。それを希少なベビーパールでハート型に取り囲み、金色のリボンの結び目にはピンクダイヤモンドがあしらわれています。
第1弾発売時に開催したポップアップストアには長蛇の列。開始わずか30分で完売だったといいます。
なぜここまで、大人に人気を集めているのでしょうか。セボンスターを展開するカバヤ食品の担当者に話を聞きました。
カバヤ食品 ブランド企画部 川口篤部長
「昔使っていたセボンスターが懐かしいということで、豪華なアイテムになったものをもう一回使いたいと、響いたんじゃないのかなと思います」
発売から45年間、子どもたちを魅了してきたセボンスター。
大人になっても、その体験を思い出してもう一度おしゃれを楽しんでほしいという思いが、「大人のセボンスター」の開発につながっているとのことです。
今から15年前の2010年、スイーツデコの流行に着想を得て誕生したという「ほっぺちゃん」も、「平成女児」ブームで注目を集めているキャラクターです。
「ほっぺちゃん」を手がけるサン宝石は、主に雑誌広告からの注文で雑貨などを販売していました。しかし、100円ショップなどの競合が台頭する中で一時売上が低迷。2021年には民事再生法の適用を申請するまでに。
ファンからの“潰れないでほしい”という声から、事業形態を変えてでも再建すると奮闘し始めました。
そして、2022年にカプセルトイのビジネスを始め、「ほっぺちゃん」がSNSで話題になるように。
その時、カプセルトイの卸先から「これ、国産で手づくりなんでしょ!?もっとアピールしたほうがいいよ」というアドバイスを受け、「ほっぺちゃん」の製造過程の動画をSNSにアップし始めました。
「ほっぺちゃん」目線の実況で、「国産」「手作り」ならではの魅力を伝えました。
「ほっぺちゃん」の制作過程動画は「懐かしい!」と反響を呼び、取引先からの「ほっぺちゃんをもっと展開したい」という声も増えたそうです。
そして、2024年8月末に「ほっぺちゃんあげいん」という名目の元、約250店舗にコーナー展開するまでに至りました。
サン宝石は、1つずつ国内で手づくりというポイントから、「ほっぺちゃん」の海外への展開も見据えているということです。
◾️デザイナーの“かわいい”を詰め込んだ新しい「平成女児」キャラクター
「平成女児」なアイテムやキャラクターは、令和にも新たに誕生しています。
「あわわちゃん」「ハッピーマーチ」「ラブ友」などのファンシー文具を販売するカミオジャパンから誕生したキャラクター。「まじかるベリーベリー」です。
ピンク色の「すとろべりー」と水色の「ぶるべりー」からなるうさぎの双子「ベリーベリー」と、ハムスターの「らずべりー」の3匹で構成されています。
「まじかるベリーベリー」を考案し、自身も平成生まれで、ファンシーグッズが大好きな「平成女児」だったというカミオジャパンのデザイナーに、キャラクターについて詳しくききました。
まじかるベリーベリー デザイナー
「『まほうでセカイをべりーきゅーとに』っていうコンセプトが大きくあります」
「『すとろべりー』と『ぶるべりー』は、お互いのことが一番大好きで可愛いと思っていて、『らずべりー』は自分のことが一番大好きで可愛いと思っている、そういう自分の『かわいい』が大好きな子たちです」
「そういう子たちを通して、自分自身の持つ可愛いっていう思いを肯定できる存在になったらいいなと思っています」
まじかるベリーベリーは、数々のキャラクターを発表してきたカミオジャパンのなかでも異例の経緯で誕生しました。
2024年春にはじめて開催した「カミオジャパン新キャラオーディション」です。
デザイナーが自由な発想で生み出した17のキャラクターから、SNSの人気投票で1位になったのが、この「まじかるベリーベリー」です。
まじかるベリーベリー デザイナー
「オーディションの話を聞いた時に、とにかく自分が可愛いと思うものを詰め込もうと思って作成したキャラクターだったので、自分が思う“かわいい”がいろんな人に伝わったのかなって思うとすごく嬉しかったです」
また、「平成女児」ブームについては。
まじかるベリーベリー デザイナー
「私みたいに『平成女児』だった方々が、当時すごく好きだったっていう気持ちを今思い出すきっかけになっているのかなって思っています」
「小さい時に見たものって影響がすごく強いと思うので、今初めて平成トレンドが好きになった人もまた、そういうトレンドを知って心の中に残って、その人たちが大きくなったりとかした時に、『あの頃のああいうトレンド可愛かったよね』という、時代は変わるとは思いますが、いつまでも平成のトレンドの要素っていうのは、いろんな人の心の中に残っていくのかなって思います」
子どもの頃好きだったものを大人になっても変わらず“かわいい”と大切に思う気持ちが、「平成女児ブーム」を広げています。