2021年は新たな防災気象情報続々(1)
■「顕著な大雪に関する情報」初発表
2021年1月7日から10日にかけて、北陸では記録的な大雪に見舞われました。特に、福井県の嶺北地方、富山県、新潟県の上越地方で降雪量が多く、上越市高田の72時間降雪量は、187センチに達し、35年ぶりの豪雪となりました(注1)。北陸自動車道や国道8号線などで立ち往生する車両が相次ぎ、鉄道やバスなど公共交通機関にも大きな影響がでました。
1月7日深夜に、富山地方気象台は「顕著な大雪に関する情報」を発表しました。これは、2018年に試験運用が開始された新しい情報で、今回の富山県が初めての発表事例でした。「顕著な大雪に関する情報」は、雪の降り方が特に強まり、その後も強い降雪が続くと見込まれた時に発表される情報です。除雪が間に合わないような強い雪が降り、物流がマヒするほどの大雪が心配される場合です。
これまでの発表対象地域は山形、福島、新潟、富山、石川、福井の各県でしたが、2021年12月からは、滋賀、京都、兵庫、鳥取、島根、岡山、広島の各府県も加わりました。
2021~2022年シーズンの冬は、ラニーニャ現象の影響により、西日本でも大雪になることがあるかもしれません。雪国の生活に関わる重要な情報として、活用されるでしょう。
■「線状降水帯」の発生を知らせる新情報
活発な積乱雲が次々と発生し、線状の列を形作るようになると、同じような場所に、数時間にわたって非常に激しい雨が降り続くことがあります。この線状降水帯は記録的な大雨の原因となり、土砂災害などの甚大な災害が頻発するため、厳重な警戒が必要です。
気象庁は、2021年6月より「顕著な大雨に関する情報」の運用を開始しました。いわゆる“線状降水帯発生情報”と呼ばれるもので、線状降水帯の発生が確認され、土砂災害や洪水のおそれが高まった時に発表される情報です。
6月29日には沖縄本島に、7月1日には伊豆諸島に、7月7日には島根県や鳥取県、7月10日に鹿児島県、8月12日から14日にかけては長崎県、佐賀県、福岡県、熊本県、広島県に発表されました。
特に8月の大雨では、72時間の降水量が、佐賀・嬉野で929.5ミリに達し、九州北部や広島県では、平年の8月の雨量の3倍を超える大雨となったところが続出しました。線状降水帯の発生を事前に予想することは非常に難しいものの、この新しい情報を活用して、避難行動に役立てましょう。
(注1)1998年より降雪の統計手法が変わっていて、以前と直接の比較ができませんが、2021年の大雪は、1986年2月3日~5日の220センチ以来の大雪とみられます。
■写真:富山市内の雪(2021年1月)