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“潜伏”短いオミクロン、濃厚接触の待機は

2022年1月14日 9:43
“潜伏”短いオミクロン、濃厚接触の待機は

新型コロナウイルスの濃厚接触者の待機期間について、14日から短縮する方向で検討されています。オミクロン株は潜伏期間が短いとされ、専門家から7日間とする意見が相次ぎます。呼吸器内科の医師に、待機期間の考え方や院内の現状、感染対策を聞きました。

■沖縄で調査・・・多くは「5日目までに発症」

有働由美子キャスター
「陽性者の家族や同僚といった濃厚接触者の待機期間について、現在の14日間から短縮する方向で検討されています。この背景には何があるのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「1つは、陽性者と接触してから発症するまでの潜伏期間が関係しています。国立感染症研究所の調査によると、オミクロン株の潜伏期間は多くは3日です」
「13日の厚生労働省の専門家会議で示された沖縄での調査でも、ほとんどの場合、感染者と接触した日から5日目までに発症しているといいます。こうしたことから、オミクロン株の場合、14日間の待機は必要ないだろうという考えです」

■意見一致せず・・・政府は「待機 原則10日間」

有働キャスター
「13日は、何日にするかは決まらなかったのでしょうか?」

小栗委員
「はい。関係者によると、まずは医療がひっ迫しないよう医療従事者の待機期間が議論されました。専門家からは『原則7日間』という意見がほとんどで、理由として『濃厚接触という概念が成立しないほど潜伏期間が短いから』という意見が出たそうです」
「一方で政府は『原則10日間』としていて、意見がまとまりませんでした。政府は専門家と調整した上で、14日の夕方にも結論を出したい考えです」

■デルタ株に比べ・・・「負担大きく違う」

有働キャスター
「国際医療福祉大学成田病院の津島健司副院長(呼吸器内科部長)にお話を伺います。濃厚接触者の待機期間について、どう思われますか?」

津島副院長
「医療従事者以外でも、ワクチンをしっかり打っているということであれば、短縮してもいいのかなと思っています」
「例えば、5~7日間ほどに短縮して、PCR検査で陰性が確認できたら復帰していただくようにしないと、オミクロン株も一気に広がっていますので、このままだと社会・経済が停滞してしまう可能性が高いので、検討してもいいのかなと思っています」

有働キャスター
「現在の病院の状況はどうですか?」

津島副院長
「13日の状況では33人の入院患者がいて、そのうち中等症が2人、それ以外は軽症です。デルタ株は1人いらっしゃって、それ以外はオミクロン株です。オミクロン株は非常に軽症かなというのが私の印象です」

有働キャスター
「デルタ株と比べて、医療現場の負担は違いますか?」

津島副院長
「大きく違います。デルタ株、私たちの中の『5波』の段階では、7~8割ほどの方が肺炎がある状態で、そこに酸素導入の治療が始まっていました。それに比べてオミクロン株は、そういった患者さんがまだ1人しかいないので、非常に軽いという印象を受けています」

■厚労省の方針に・・・「統一は難しい」

有働キャスター
「そうした中で、厚労省は医療従事者については、濃厚接触者となっても毎日勤務前に検査して陰性であれば勤務OKとしています。これについての見解は?」

津島副院長
「現実的な問題として、それをもしやるとしたら、毎日PCR検査ができる施設ばかりではないので、そこを全て統一させるのはちょっと難しい問題かなと思っています」
「私たちの施設もですが、(待機を)5~7日に短縮しよう、どう短縮しようかと非常に議論しています。ただ単純に短縮だけではダメなので、私たちとしては必ず復帰前にPCR検査で陰性を確認する形であれば、勤務可能かなと考えています。今はそういう段階ですね」

有働キャスター
「廣瀬さんは、今の状況をどう感じていますか?」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「ラグビーのリーグワンでも2試合連続で試合ができていないチームが出てきている状況です。もし濃厚接触者の待機期間が短くなれば、試合もできるのになと思っています。待機期間を短くするためのポイントはどこにありますか?」

津島副院長
「東京などでは、『心配だから』と無料でPCR検査を受けられる施設もあります。開業医の先生にもぜひ参加していただき、濃厚接触者が検査できる状況をつくっていただく。それにより、少しでも早く社会復帰し経済を回す方向に動いていただく方がいいと思います」

■副院長「高齢者らにうつさない努力を」

有働キャスター
「オミクロン株が急増している今、大切なことは?」

津島副院長
「(症状が)軽いからといって、若い人も気を付けないといけないのは、全ての人が、治療をまだ受けられるわけではないということです」
「いわゆる高リスク群でないと、(つまり一定の)年齢や疾患がない限り、点滴や内服薬の提供ができていないのが現状なので、そこはよく考えていただきたい」

「また高齢者にクラスターが発生した場合に、どういう状況になるのか、まだ私たちには、それほど経験がありません。オミクロン株がそういう方々の重症化のリスクを上げてしまう可能性はまだ分かりません」

「私たちとしては、高齢者らにうつさない努力もしてもらいたいと思いますので、そういった方が重症化しないように気を付けて、十分に感染対策していただけたら、というのが願いです」

(1月13日『news zero』より)