都会のオアシスに“異変” 梅の名所が“花スカスカ” 倒木の危機で散策路が立ち入り禁止
春を感じられる都会のオアシスで、問題が起きています。梅の名所では、既に花が散っていて、立ち入りが禁止になった場所もありました。
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学問の神様、菅原道真をまつった湯島天満宮。梅まつりの真っ最中です。(※3月8日まで)
フランスからの観光客
「梅の花と本殿のコントラストがきれいです」
ところが今年は“異変”が起きています。
記者
「梅の花があまり咲いていませんね」
今年は暖冬の影響もあって、例年より早く開花。約300本のうち、多くが既に散ってしまったというのです。千葉から訪れた女性たちは、満開のしだれ梅を期待してきましたが…
千葉からの参拝者
「お花のないしだれ」
「がっかりだけどね、咲いているのだけ楽しんで」
さらに今、頭を悩ませているのが、本殿脇にある“シンボル”ともいえる梅の木です。花をつける枝はわずかですが、原因は…
安諸庭園 鈴木武士さん
「老化と夏の強い日差しの暑さとかで弱ってきてしまって、枝枯れが進んじゃっている木です」
江戸時代の絵にも花が描かれ、古くから地元のオアシスのような存在だった湯島天満宮。20年ほど前に撮影された写真を見ると、多くの梅が咲き、夜景に浮かび上がっていましたが、年々、枝が減少。“スカスカ”になっていました。
境内の木の多くは樹齢70年ほどと古いのに加え、猛暑の影響などで弱った枝を切る必要があり、咲く花の数自体も減少しているというのです。そのため、古い梅の木を再生させようと、今年初めてクラウドファンディングを開始。植え替えなどの資金を募っています。
湯島天満宮権禰宜 渡辺直さん
「梅園内の木々を植え替え、整備をするためにクラウドファンディングの取り組みを行っています」
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ピンチに立たされた“都会のオアシス”は他にもありました。
東京・世田谷区のレストラン。お店の売りは、等々力渓谷公園がのぞめること。
お客さん
「渓谷が見えて気持ちいいなと」
豊かな緑と川のせせらぎが訪れた人を癒やす都会のオアシスです。年間数10万人が訪れるという東京23区“唯一の渓谷”。ところが…
記者
「フェンスがありますけど、通行止めとなっていますね?」
世田谷区公園緑地課 岸本隆課長
「この渓谷内で倒木が発生しまして、安全第一、通行を止めています」
去年から遊歩道が約700メートルにわたって立ち入り禁止となっているのです。
散歩道だったという女性は…
世田谷区民(30代)
「散歩していい空気を吸ってというルーティンが好きだったので、あぁ、閉鎖されちゃったんだみたいな」
原因は、立ち入り禁止エリアにみえるテープが巻かれたいくつもの木。約50本に倒木の危険があるというのです。
去年7月に撮影された画像には、川をまたぐように木が倒れ、遊歩道をふさぐ様子が写っていました。
世田谷区公園緑地課 岸本隆課長
「ナラ枯れが非常に進行していて、木自体が弱っていた。そこに昨今の酷暑」
渓谷内で病原菌によって木が枯れる“ナラ枯れ”などが発生。さらに、去年の猛暑が追い打ちをかけているといいます。そのため、世田谷区は、来年度(2024年度)から順次、剪定(せんてい)と伐採作業を進めていくといいますが、重機が入れず人の手で行うため、数年はかかる見込みだといいます。渓谷を守るため、今後、ふるさと納税で寄付を募ることを検討するということです。