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安倍元首相“銃撃” 山上容疑者「鑑定留置」終了…起訴へ 拘置所中の生活は? 現金50万円差し入れも

2023年1月11日 1:04
安倍元首相“銃撃” 山上容疑者「鑑定留置」終了…起訴へ 拘置所中の生活は? 現金50万円差し入れも

去年7月、演説中の安倍元首相を銃撃した山上徹也容疑者(42)。刑事責任能力ありと判断され、近く起訴されることが明らかになりました。鑑定留置中の5か月半はどう過ごしていたのか。伯父に話を聞くと、全国から差し入れが絶えず、中には「大学に行ってほしい」と50万円を差し入れた人も…。

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去年7月8日、奈良市で演説中の安倍元首相を銃撃したとして逮捕された山上徹也容疑者(42)。今年1月10日午後3時すぎ、刑事責任能力を調べる鑑定留置が終わり、奈良西警察署に移送されました。去年7月10日の送検時と比べると髪形はほぼ変わっていませんが、今回はメガネを着用していました。メガネは事件当時もかけていました。

山上容疑者は、逮捕直後から一貫して世界平和統一家庭連合、いわゆる“統一教会”への恨みを犯行の動機として供述を続けているということです。

山上容疑者(警察の調べに対し)
「母親が教団に多額の寄付をするなどして、家庭がめちゃくちゃになった」
「宗教団体の代表らが設立した、NGOの集会に寄せられた安倍元首相のメッセージを見たころに殺害を決意した」

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山上容疑者は約5か月半、拘置所の中でどのように過ごしていたのか。その様子を知るという山上容疑者の伯父は、私たちの取材にこのように話しました。


山上容疑者の伯父
「週に1回ほど鑑定医との面談がある以外は自由に過ごしている。学ぶ意欲が出てきた。興味がある科目の本を取り寄せている」

伯父や妹は、「出所後のために勉強してほしい」と英検のテキストや英和辞典を差し入れたといいます。さらに――

山上容疑者の伯父
「全国から衣服やお菓子などの差し入れが絶えない。『大学へ行ってほしい』と現金50万円を送ってくる人もいる。山上容疑者は『送り返してほしい』と言っている」

山上容疑者に、見ず知らずの人から現金50万円の差し入れもあったといいます。

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今後の裁判で争点になる可能性があるのが、刑事責任能力の有無です。

伯父によると、山上容疑者は事件前にこのように話していたといいます。

山上容疑者の伯父
「『教会が自分の人生をぐちゃぐちゃにしたんや』と(言っていた)。(2005年当時勤務していた)海自から私の所に(山上容疑者の)自殺未遂の連絡があって、海自の方は本人(山上容疑者)に聞いたら、『兄貴と妹が人生に困っているから、それで保険金払う』と」

鑑定医は、大阪拘置所で山上容疑者と定期的に面談し、“教団”が生い立ちや家庭環境にどう影響したかについて、聞き取りを続けてきました。

関係者によると、奈良地検は鑑定留置の結果、山上容疑者に刑事責任能力があったと判断したということで、今月13日までに殺人などの罪で起訴する方針です。

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“刑事責任能力あり”。この判断について元大阪地検検事の亀井弁護士は、私たちの取材にこのように答えました。

元大阪地検検事 亀井正貴弁護士
「殺害方法となった武器まで製造して、殺害目的に向かって合理的な行動をしていますから、計画性も強い・堅い事案だと思いますから、その意味では本人の精神的な異常は感じられない。本件は、責任能力は認められる事案であろうと思われますし、鑑定医もそのように判断したんだろうと」

鑑定留置が終わるまで5か月半かかったことについては――

元大阪地検検事 亀井正貴弁護士
「安倍元首相を狙うに至った動機形成の過程。一般的には、旧“統一教会”に対する恨みを安倍元首相で晴らすというのは動機に飛躍がありますから、本人の考え方はどういうことなのかを何度も質問していきながら確定していくんだろうと、慎重を期すという意味において妥当な期間だろう」

また、捜査関係者によると、警察は犯行に使われた手製の銃について発射実験を行い、殺傷能力を調べた結果、銃刀法が規制する拳銃などにあたるとして、銃を発射したなどの銃刀法違反の疑いでも追送検しました。

(1月10日放送『news zero』より)