三笠宮妃百合子さまご逝去 「心で通じ合ってるよう」…スリランカゾウ・アヌーラと半世紀の「不思議なご縁」
宮内庁は天皇陛下の大叔母にあたる、三笠宮妃百合子さまが15日午前6時32分、入院先の東京・中央区の聖路加国際病院で亡くなられたと発表しました。皇室最高齢の101歳でした。2022年6月、百合子さま99歳の誕生日には、孫の彬子さまとともに、ご家族が写った昭和20年代の写真などを見ながら会話される映像が公開されました。映るゾウの置物は、三笠宮ご夫妻と当時のセイロン、今のスリランカとの深い縁を象徴するものでした。(2022年6月の配信を再編集)
■健やかに迎えられた白寿の誕生日
――井上茂男さん(日本テレビ客室解説員)は、このニュースをどのようにご覧になりましたか。
テーブルの上にゾウの置物があります。こちらは三笠宮ご夫妻が66年前、当時のセイロン、今のスリランカを訪問された時の記念の品だそうです。ご夫妻は1956(昭和31)年8月、建国2500年記念式典出席のため、羽田空港を出発し、現在のスリランカに入られました。
その時、当時の首相から日本の子どもたちに贈られたのが3歳のオスのゾウで、首相の息子の名前をとって「アヌーラ」と名付けられ、多摩動物公園で飼育されることになりました。
それから半世紀。2007(平成19)年5月、三笠宮ご夫妻は多摩動物公園で行われた「スリランカゾウ『アヌーラ』の来日50年を祝う会」に出席されました。「祝う会」には、成長して、国家遺産大臣になっていた首相の息子、アヌーラさんもスリランカから駆け付けました。
この時、当時91歳の三笠宮さまは、現地で仏教の聖地キャンディの仏歯寺に参詣したことを振り返り、「半世紀を経た再会は仏縁と言いますか、不思議なご縁」と挨拶しました。
――50年たっての再会というのも、なかなかないですよね。
珍しいと思います。取材で忘れられないシーンが記念撮影です。ゾウのアヌーラをバックにご夫妻がアヌーラさんと並ばれますと、アヌーラもわかったのか、運動場の先端まで寄ってきて、長い鼻を上げ、顔を上げて“カメラ目線”をとったんです。ご夫妻は満面の笑みでご覧になり、三笠宮さまは盛んに手を振っていました。
――ゾウのアヌーラも、前のめりというか、近づきたいようにも見えますね。
ゾウですけれど、いい表情を浮かべていて、50年たっても何か心で通じ合っているのを感じます。2024年11月、ゾウのアヌーラは、推定70歳以上で今も元気だそうです。
【井上茂男(いのうえ・しげお)】
日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)。