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記録的大雨 流されたパトカー 新たに1人死亡不明の警察官か【バンキシャ!】

2024年7月29日 9:37
記録的大雨 流されたパトカー 新たに1人死亡不明の警察官か【バンキシャ!】

記録的な大雨となった山形県と秋田県では、行方不明者の捜索が続けられています。山形県では28日、新たに1人が心肺停止の状態で見つかり、その後、死亡が確認されました。行方がわからなくなっている20代の警察官とみられています。(真相報道バンキシャ!)

   ◇

28日、バンキシャ!は山形県・酒田市の竹田地区へ。

バンキシャ!
「奥の方まで水が押し寄せてきたことが分かります」

近くの最上川が氾濫した竹田地区、朝から住民らが後片付けに追われていた。住民が見せてくれたのは、濁流の爪痕。

「1メートルぐらい」「そっちの中も…」と住民が案内した家の中も…。

住民
「(水は)この台が隠れるぐらい」

「この辺ぐらいまで(浸水した)」

映像は28日の自宅前の様子。26日に撮影された写真では、かなりの水位があったことが分かる。

住民
「1階はもう全部ダメですね」

記録的大雨に見舞われ、各地で川が氾濫した山形県。酒田市では、1日に2度の「大雨特別警報」が出された。

多くの家財道具が外へ出されていた住宅では、住んでいた夫婦の子どもや孫たちが片付けを手伝いにきていた。

「うわ重たい」と畳を運び出す住民。当時、夫婦は避難していたが、帰宅すると泥まみれだったという。

片付けを手伝う娘
「食器片付けてる時に、一番この食器使ったなとか」

「残念というか」

「(捨てるのは)もったいないけど仕方ない」

午後になって、雨が降り始めた酒田市。この大雨の影響で、酒田市北青沢の86歳の女性が行方不明となっていて、自衛隊や警察などが捜索を続けている。

   ◇

この雨で死者も出ている。山形県新庄市では、水に押し流され横転した1台のパトカー。ともに20代の巡査部長と巡査長が乗っていた。

巡査長の玉谷凌太さん(26)は、近くで見つかり死亡が確認された(警部補に2階級特進)。仕事ぶりはまじめで積極的、リーダー的存在だったという。

27日、バンキシャ!は山形県新庄市の現場へ。

バンキシャ!
「車が数台田んぼに落ちてしまっています」

流された3台の車が残されていた。25日の夜、この周辺では複数の車が水に浸かり、身動きがとれない状態に。そして、午後11時23分、そのうちの1台から救助要請が入った。玉谷さんと巡査部長は救助に向かったという。

しかし、20分後の午後11時43分。玉谷さんから通報が。

「パトカーごと流されている」

周囲の音が大きく、聞き取れたのはこの一言だけ。わずか45秒間の通話だったという。

翌日の26日、玉谷さんはパトカーから400メートルほど離れた場所で見つかった。玉谷さんたちにライフジャケットを届けようと、別の署員が追いかけていたが、途中で土砂崩れがあり、かなわなかったという。

この場所で当時、何が起きていたのか。河川の氾濫のメカニズムに詳しい専門家に話を聞いた。まず注目したのは、現場近くを流れる「新田川」だ。

東京理科大学・二瓶泰雄教授
「こちらの写真見てわかりますように、ちょうどこのあたりですね。堤防が決壊しています」

「今回ですと、氾濫した水が相当勢いがあったので、そのままあふれた水がまっすぐ低い方へ流れていったのかと思います」

現場から3キロ離れた最上川に設置されたカメラの映像(国交省山形河川国道事務所)には…。

時刻は25日の午前11時。その後、みるみるうちに水位があがり、救助要請があった午後11時すぎには、辺り一面が水没しているのがわかる。

専門家によると、新田川も同じように水位があがり、あふれた水が田んぼに流れ込んで、道を走る車をのみこんだ可能性があるという。

ではなぜ、あとから駆けつけたパトカーまでもが流されてしまったのか。

専門家は、現場周辺の“地形”に注目した。見せてくれたのは、高低差を色で示した地図(国土地理院より)だ。

東京理科大学・二瓶泰雄教授
「ちょうど(パトカーが見つかった)この辺り、黄緑になっていて45mから50mくらいの高さ。一方、道路の両端は黄色なので50mから55mということで、標高5mくらいの差があります」

道の両端に比べて、真ん中は5メートルほど低くなっている。そのため、川の水は真ん中部分を流れた可能性があるという。

改めて現場の道路を見てみると、たしかに道の真ん中がくぼ地になっていた。

バンキシャ!
「真ん中の街路樹には、多くの土砂がせき止められている」

濁流の痕跡が、道の中央部分だけに残されていた。専門家はこの高低差によって、パトカーが冠水に気づきにくかったのではないかと指摘した。

東京理科大学・二瓶泰雄教授
「最初は冠水していないので、普通に通れていたと思うが、あるところから浸水していって、真ん中ほど(水の)速さも速かったと思うので、耐えきれず流されてしまったのでは」

現場では28日も、行方がわかっていない巡査部長の捜索活動が続けられた。そして、新たに1人が心肺停止の状態で見つかり、その後、死亡が確認された。警察は巡査部長とみて、身元の特定を急いでいる。

(7月28日放送『真相報道バンキシャ!』より)