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犬の散歩“マナー違反” 飼い主へ警告「イエローチョーク作戦」広がる

2022年5月26日 20:51
犬の散歩“マナー違反” 飼い主へ警告「イエローチョーク作戦」広がる

コロナ禍でペットを飼う人が増えたと言われていますが、犬のふん尿のマナー違反も目立つようになっているそうです。住宅街のみならず、歴史ある神社や、世界遺産・富士山の構成資産の1つとなっている神社も頭を抱えていました。自治体では飼い主に警告する「イエローチョーク作戦」が広がりをみせています。

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26日朝、さいたま市の氷川神社では、住宅街が近くにあるため、参道には愛犬と散歩する人の姿が、あちらこちらに見られました。しかし――

違反を見た飼い主
「犬の散歩で、行儀が悪い人が若干増えているかもしれないね。犬のフン!」

違反を見た飼い主
「うんちが転がっています」

神社は、犬のフンなどを放置する迷惑な飼い主に、頭を抱えてきました。

武蔵一宮氷川神社 遠藤胤也権禰宜
「鳥居ですね。以前は、わんちゃんがマーキングしちゃって、(鳥居の)木が腐食してしまうということがありましたので」

おしっこによる腐食を防ぐため、鳥居には囲いを設置しました。

遠藤権禰宜
「神社の境内は、清浄に保たないといけない」

フンやおしっこの被害が悪化したことから、境内での犬の散歩を禁止しました。それでも――

遠藤権禰宜
「(ルールを)無視する方も、中には開き直る方もいますので、『家族だから、犬だっていいだろ』っていう」

実は、コロナ禍のペットブームの中で、こうした“ルール違反”の飼い主が増えているというのです。

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世界文化遺産・富士山の価値を構成する資産となっている神社でも――

北口本宮冨士浅間神社 高阪雄次さん
「こちらの国指定の重要文化財なのですが、こういった所に(犬に尿を)かけられてしまったり」

神社によると、柱の石部分にうっすらと犬のおしっこのような跡が残っていたといいます。さらに、今年に入り、多い日で1日に10個以上のフンが参道で確認されたというのです。

木造の文化財の腐食などを懸念した神社は、ペット同伴での参拝禁止を今後、検討せざるを得ない事態に追い込まれていました。

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三重県の街中でも犬のおしっこによる被害があり、2021年2月、電柱が根元から倒れました。おしっこに含まれる尿素や塩分などが原因で、腐食が進み、倒れたとみられているのです。

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神奈川・大和市の川沿いにある住宅街では、花壇の上に犬のフンがありました。

草柳地区自治会長によると、コロナ禍で放置されたフンをよく見かけるようになったといいます。そこで、昨年5月から始めた対策が、その名も「イエローチョーク作戦」です。

大和市草柳自治会 高橋忠広会長
「今日は5月26日、印つけましょう」

黄色いチョークで囲い、発見した日付と時間を書き込んで飼い主に警告し、飼い主自ら回収してもらう狙いがあります。

高橋会長
「(飼い主)ご本人が次きたら、『あ、見られてるな』となるんじゃないかな」

実はこの作戦、全国の自治体で広がりをみせています。

千葉・山武市は作田川河川敷で実証実験を行い、2021年1月に始めた時は1か月で36個あったフンが、2022年4月はたった1個と激減しました。
    
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東京・立川市の商業施設「GREEN SPRINGS」に登場したのは、犬用の水洗トイレ「おしっこポール」です。

GREEN SPRINGS 広報 美馬哲郎さん
「電柱とか、普段わんちゃんがおしっこする空間に見立てています」

水で洗い流す上、さびにくいステンレス素材を使っているため、ポールが腐食する心配が少ないといいます。

犬を飼っていない客
「施設として(犬用トイレを)整えてもらえたら、子どもも安心して連れてこられるなと」

飼い主のマナー違反を防ぐ対策も広がりをみせています。