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【解説】スギ花粉“過去10年で最大レベル”…症状がない人も発症する可能性が “やっかいな性質”をもつ「粉砕花粉」に注意も

2023年2月15日 20:49
【解説】スギ花粉“過去10年で最大レベル”…症状がない人も発症する可能性が “やっかいな性質”をもつ「粉砕花粉」に注意も

東京では花粉の飛散開始が発表され、花粉症の方にはつらいシーズンがやってきました。さらに、“過去10年で最大レベル”という花粉、これまで花粉症になっていない人も要注意です。

◇花粉の「3K」とは
◇脱マスクで“発症”?
◇「粉砕花粉」に要注意

以上の3点について詳しくお伝えします。

■スギ花粉の飛散量“極めて多い” 週末には花粉の「3K」がそろい飛散しやすく

まずは改めて、今年、2023年の花粉症のシーズンで、環境省はスギ花粉の飛散量が、関東・北陸・近畿・中国地方で“極めて多くなる”見込みで、東京や兵庫など12の都府県では、花粉を生み出すスギの雄花の量が、“過去10年間で最大”と予測しています。12都府県は、東京、神奈川、福島、新潟、富山、石川、京都、兵庫、岡山、鳥取、広島、福岡です。

そして、東京都は「10日を『飛散開始日』として確認した」と発表しました。

さらに、15日は東京でも8℃と全国的に冷え込んでいますが、17日からは気温が上昇していて、平年を上回ることが予想されています。そうなるといよいよ、花粉が飛びやすい条件である「高温」、「乾燥」、「強風」の「3K」がそろいやすくなります。春一番とかが吹いたりすると、花粉は大変なことになりそうです。

今週末の17日から、来週にかけての花粉飛散予測も出ています。やはり、関東・甲信は気温が上がる18日の土曜日が、「やや多い」となっています。近畿は、週明け20日の月曜日が「やや多い」、そして、九州では17日の金曜日と週明け20日の月曜日、21日の火曜日が早くも「非常に多い」予測となっています。

■“脱マスク”したいけど…着用で花粉が“約84%減”

政府は、3月13日からマスクの着用については、「個人の判断で」としています。脱マスクの生活を始める人も増えると思われますが、花粉症を長年研究している、NPO花粉症・鼻副鼻腔(びくう)炎治療推進会理事長で日本医科大学耳鼻科咽喉科の大久保公裕教授に聞いたところ、「これまで花粉症がなかった人も新たに花粉症になりやすく、さらに、花粉症の人も重症化する可能性がある」といいます。

これまで、コロナ禍で長期にわたってマスク生活を続けたことで、花粉やウイルスといった“異物”に触れる機会が少なくなっていて、免疫力が低下しているということです。そこに、今年は急激に花粉が増え、マスクも外すということになると、鼻の粘膜が過剰に反応するおそれがあって、新たに花粉症になったり、場合によってはひどくなったりする可能性があるということです。

大久保教授の実験でも、マスクをまったくしない場合、鼻の中に1848個の花粉がありましたが、花粉症用のマスクをした場合は304個と、約84%も減らすことができるという結果になったそうです。

大久保教授によると、「とにかく防御して、花粉を体内に入れないことが大切だ」ということで、「マスクを取るなら、花粉症の時期が終わってからがいいのではないか」と話していました。

■「粉砕花粉」に注意! 舞い上がりやすく、その場に長くとどまる性質

それから、もう一つ知っておいていただきたいことが、「粉砕花粉」というものの存在です。通常の花粉はというのは、約30マイクロメートルの大きさなのですが、これが破裂すると「粉砕花粉」に変身します。1000分の1ほどの“ナノメートルレベル”まで、小さくなってしまうこともあるそうです。

「自宅や室内に持ち込んでしまった花粉」が、要注意だといいます。パナソニックが行った実験では、室内に持ち込んだ花粉の上を歩いたり踏んだりすると、破裂して「粉砕花粉」になることがありました。

さらに、砕け散った花粉の上を人が歩くと、「粉砕花粉」はとても小さく軽いので、一度舞い上がるとなかなか落ちてきません。「粉砕花粉」は舞い上がりやすく、その場に長くとどまるという性質があって、実験では3分以上、通常の花粉の約2.25倍以上も空間に滞留したといいます。

「粉砕花粉」は踏むだけでなく、雨や湿気などでも発生する可能性があるということです。大久保教授によると、花粉の表面にアレルギーの原因となる物質がついているため、細かくなった花粉が鼻の中に入ると、鼻の粘膜により一層くっつきやすくなり、原因物質が鼻水などで溶けて、症状がより強く出やすくなるということです。

■服の素材で花粉“付着率”に違いが… 加湿器も有効

粉砕花粉の対策は、通常の花粉と同じです。

【対策1】
とにかく体内に入れないことです。細かい粒子の方がより隙間から入ってきやすいので、マスクや花粉症用のメガネで、隙間をしっかりとガードすることが大切です。

【対策2】
家に持ち込まないということも重要です。例えば、花粉はウールの服がもっとも付着しやすく、絹や綿の素材は付着しにくいというデータもあります。春は、着ていく服の素材も気にしてみてください。

【対策3】
家に花粉が入ってきてしまった場合は除去します。特に、部屋の四隅のあたりにホコリなどと一緒にたまっていることも多いので、ホコリをしっかりと取り除くこと、そして舞い上がらないようにぬれぞうきんなどで拭くというのもいいそうです。さらに、加湿器を使うと花粉が漂いにくくなるので、(湿気で)落ちてきたのを拭き取るのがオススメだそうです。

   ◇

大久保教授によれば、マスクがもちろん有効としながら、免疫力をしっかり保つための規則正しい生活やバランスの良い食事、そして、同時に睡眠も大切だということです。

(2023年2月15日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)

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