避難指示解除から1年…小高区の課題は?
福島第一原発から20キロ圏内にある、福島県・南相馬市小高区。2016年7月、一部の帰還困難区域を除いて避難指示が解除された。住民が帰還できるようになって12日でちょうど1年。学校も再開され、徐々に人々が戻ってくる中、残された課題とは?
■「戻ってこられてうれしい」 でも生徒数は…
66人の生徒が通う小高中学校。震災後、南相馬市内の別の場所に建てた仮設校舎で授業を続けていたが、避難指示解除をうけて、今年4月、本校舎での授業を再開した。小高区に住む3年生の2人に今の思いを聞いた。
「やっぱり地元の中学校に通えることはいいと思うので、こっちに戻ってこられてとてもうれしかったです」
「自分の家に帰れるのと、地元の学校に行けることがまずうれしかった」
ただ、2年生、1年生と学年が低くなるほど生徒の数は少なく、寂しさもあるという。生徒数は今後さらに減る見通しで、現在の66人から5年後には29人と半分以下になってしまうとのことだ。
小高中学校の荒木校長は、生徒たちが小高に戻ってきたくなるような、環境づくりをしていきたいと話していた。
■“人の集う場所”を
また、環境づくりは、子どもたちに対してだけでなく大人たちに対しても大切だ。
4月にオープンした「Cafeほっと悠あゆみ」は、小高区に“人の集う場所”“心休まる場所”が必要なのではないか、との思いでつくられたという。
小高区に帰ってきた住民に話を聞くと、「スーパーが少ない」「夜間に診てくれる病院がない」など、生活する上での不便さを口にしていたが、「小高は落ち着く」と話していた。
■仲間をつくる
小高区では約9000人の住民のうち、町に戻ったのは6月末の時点で約2000人と、まだ2割ほどだ。もっと多くの人に戻って来てもらうには環境作りも大切だが、町の機能を回復させるためには、町自体に活気も必要だ。
「おしゃべりできる」「笑いあえる」「夢や目標を話しあえる」―そんな仲間ができるようになることが大切だ。