長野県が“ご長寿”日本一のワケとは?
厚生労働省が6月、地域の年齢構成を調整し算出した2015年の都道府県別の死亡率を公表。その死亡率が最も低かったのは、男女ともに長野県だった。日本一平均寿命が長いことでも知られる長野県民の長寿の秘けつとは?
■健康のウラに“食改さん”
平均寿命日本一という長野県。具体的にはどんなことが健康、長寿につながっているのだろうか。
まず、長野県は“野菜を食べている量が日本一”という特徴がある。女性の1日あたりの野菜摂取量でいうと、全国平均の280グラムに対し、長野県は365グラムとなっている。1日ではわずかだが、1年で考えると相当な差が出てくる。
ただ、これは自然に行われているわけではない。
長野では、“食改さん”の活動が盛んだ。食改さんとは“食生活改善推進員”のことで、ボランティアで一般家庭にバランスの良い食生活を広める活動をしている。野菜の摂取量が多いというのは、その成果のひとつでもある。
長野県・茅野市の活動では、特に、野菜をたくさんいれた“具だくさんみそ汁”で減塩につなげている。茅野市食生活改善推進協議会の宮下会長に、取材した際に作っていたみそ汁について話を聞くと、一般家庭のみそ汁よりも減塩しているが食改としてはまだ濃いとのことだ。具をたくさん入れることで水分量も少なくなるので、塩分の摂取も抑えられる。
■就業率も日本一
長寿の秘けつは食生活だけではない。もうひとつの理由として、“高齢者の就業率が日本一”ということがある。高齢者の就業率を見ると、全国平均は23.3%だが、長野県では28.9%となっている。
山田よし子さん(86)は75歳まで会社勤めをしていて、今は家の前の畑で毎日、農作業をしている。山田さんは重い慢性心不全で、この2年で4回ほど入院しているが、1日4時間の農作業は毎日欠かさないという。
働くということが“生きがい”につながり、それが長寿につながっているようだ。
■“野菜・減塩”そして“生きがい”
大腸がんを経験した90歳の男性は、歩行器を使って可能な限り自分1人の力で歩いている。好奇心が旺盛で、「新しいことを頭に入れたい」と毎日欠かさず、新聞の記事をノートに書き写している。農作業はできなくても、趣味でも散歩でも“目標をもって生きる”。
それは、長野ではなくてもできることだ。野菜を食べ、減塩し、“生きがいをもつ”ことが、長寿の秘けつだ。