台湾の高齢化対策 日本が学ぶべきコト
■日本が台湾から学ぶ高齢化対策
諏訪中央病院の名誉院長・鎌田實さんは今月、台湾を訪問した。実は台湾は近い将来、高齢化率で日本を上回り、世界一になるとみられている。台湾の実情から、日本が学ぶべきことが見えてきた。
今、台湾では高齢化と同時に少子化も進んでいるため、ものすごい勢いで、高齢者の割合が上がっていて、高齢化に対する危機感が高まっている。
台湾に住む106歳の楊蕋さん。長男夫婦、孫夫婦、ひ孫と一緒に暮らしている。台湾ではこれまで、3世代・4世代が同居する家庭が多かったが、最近では核家族化が進んできているという。
台北市にある台北植物園を訪れる人たちの中には、お年寄りの姿も見られる。89歳の容文君さんに付き添っているのは、インドネシア人の介護ヘルパーだ。台湾では多くの高齢者が外国人のヘルパーを雇っていて、一緒に暮らしながら介護をしてもらっているという。
また、植物園には、ダンスや太極拳を楽しむお年寄りや、ヘルパーたちと会話を楽しむお年寄りが多く見られた。
鎌田さん「公園に来れば、コミュニケーションができる。相手ができる。踊りに入ったり、体操に入ったり、孤立しないっていうのが、すごく大事で、それは日本でも学んでいいのかなって思いました」
■人と人とのつながりが大切
鎌田さんは、高齢化をテーマにしたシンポジウムで講演し、「食生活や運動の重要性を伝えると同時に、人と人とのつながりが大切だ」と話した。
鎌田さん「健康で長生きしていくにはお金も大事ですけども、人間と人間の関係が成り立っているのかどうか」
シンポジウムに出席していた、台湾北部にある新北市の職員に話を聞いた。
鎌田さん「運動(への取り組み)は、一生懸命やっているんですか?」
台湾新北市衛生局・林奇宏局長「(運動について)1つの重要な政策として取り組んでいます。ほとんどの公園で朝5時くらいから、にぎやかにみんなで体を動かしています」
運動についての政策を進めていく中で、高齢者を孤立させない地域作りは、台湾の、どの地域でも自然に行われているという。
■高齢者支える空気育てよう
台湾では核家族化が進んでいるが、一緒に住んでいなくとも、心のつながりを強く感じた。しっかりとした家族の「タテのつながり」と、日本にはあまり見られない公園などでの緩やかな友人との「ヨコのつながり」が台湾の高齢者を支えていることがわかった。
日本でも、もっと「ヨコのつながり」やそういった空気を育てることが、超高齢社会への一つのヒントになるのではないか。