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「おいしくない」給食 異物混入…町は反省

2017年9月20日 20:12
「おいしくない」給食 異物混入…町は反省

 神奈川県大磯町の2つの町立中学校の給食で、食べ残しの割合が高くなっているという問題。調べていくと、「おいしくない」というほかに、給食への異物混入が多発していたことがわかった。大磯町は20日、会見を開き、謝罪と状況を説明した。会見でわかったこととは?


■全国平均の4倍近い食べ残し

 今回の騒動の発端は、大磯町の2つの町立中学校で、食べ残しの割合が高くなっているという問題だった。全国平均の食べ残しの割合は、平均6.9%。対して大磯町は26%となっている。

 ――給食を残す理由について、大磯中学校の生徒たちは次のように話していた。

 ●「運んできた時の臭いがすごい強烈で、そこから食べる気がなくなって」
 ●「最初は全然わからないくらい(味が)薄かったんですけど、今は濃いんですけど、逆に濃すぎて変にまずかったりする」
 ●「ご飯の中に虫が入っていたって言っているクラスがあった」

 「給食がおいしくない」だけでなく、異物混入が多発していたことも食べ残しの多い原因だったのだ。大磯町では約1年半で、髪の毛や虫、ビニール片や金属片、プラスチックなどの異物混入が84件。そして、同じ給食業者が納入していた相模原市の中学校でも、昨年度で28件、今年度で9件、報告されていたことが新たにわかった。


■給食の“3パターン” 町が採用した「デリバリー方式」とは?

 給食にはいくつかのパターンがある。大きく分けると、(1)自校方式、(2)センター方式、(3)デリバリー方式の3つだ。自校方式というのは学校に調理場があり、そこで給食を作る、学校の中だけで完結する方式。センター方式は、いくつかの学校の給食を一括して作るいわゆる「給食センター」からそれぞれの学校に配送されるもの。そして、デリバリー方式では、民間の給食業者が業者の施設で作った弁当を学校に届けている。

 今回の問題が発覚した大磯町と相模原市では、デリバリー方式をとっていた。この3パターンの割合は、2006年から2014年までの推移でみてみると、自校方式とセンター方式は減っているのに比べ、デリバリー方式は倍近くに増えている。大磯町は去年1月からデリバリー方式を導入しているが、その理由について“早期導入でき、有効かつ現実的な方法で初期投資額が抑えられるため”としている。


■混入原因8割強が不明のまま。町は反省「取り組み甘かった」

 今回の異物混入の原因について現在、明らかになっているのは、大磯町で1年半の間に異物混入が報告された84件のうち、15件は給食を製造した業者の工場で混入したということ。一方で、残る69件が混入した原因は不明で、会見で大磯町は次のように話した。

 「原因の特定、なかなか我々の取り組みも甘かったと反省しています。発生した都度、混入経路についてもう少しきちんと調査をしないと。曖昧さが事業者との対応に甘さがでてきたと思います」

 つまり、発生してすぐに原因を詳しく調べるべきところ、確認が甘かったと反省しているのだ。今後は、業者に対して再発防止を指導するほか、全ての弁当を写真で記録するなどの対策をとるとしている。ただ、給食を導入した去年1月にはすでに髪の毛の報告があったというから、対応が遅いというほかない。


 ★★★

 生徒たちが安心して給食を食べられるようにするには、まず「安全を取り戻す」必要がある。生徒たちの中には、原因がわからないままでは、また異物が入っているのではと不安で食が進まなかったケースもあるかもしれない。まずは原因を調べ、生徒たちの安心を取り戻し、衛生管理の態勢を徹底して見直す。すぐにやるべきことはたくさんある。