今年は“秋カビ”に要注意…夏の長雨で増殖

今年は、夏の長雨で秋にカビが増殖しやすい環境になっていると専門家が指摘していて、話題になっている。梅雨に生えやすいイメージのカビだが、実はこの時期、梅雨と同じくらいカビが生えやすいという。“秋カビ”に気をつける場所や対策は。
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この夏は雨が降り続き、都心などでは記録的な日照不足に。その影響で、今年の秋はカビが多くなる可能性があると、千葉大学・真菌医学研究センターの矢口貴志准教授は指摘する。
矢口准教授「例年と比べると(地域によっては)夏が涼しくて雨が多かったですので、例年よりもカビが増えやすい状況にあると思います」
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「秋カビ」が生えやすい場所について、ダスキンサービスマスターの小松拓也さんに聞いた。
まず注意したいのは、夏場に活躍したエアコン。
小松さん「よーく見てみると、ファンの部分にカビが生えています」「カビというのは冷房を使った後に生えることがあります。(Q:まさにこの時期に生えやすい?)生えやすいです」
夏、冷房を使った後は内部にカビが生えやすく、掃除をしないまま冬に暖房を使うと、アレルギーの原因にもなるカビの胞子が室内に蔓延する可能性があるという。
さらに、「秋カビ」に注意したいのは浴室。
小松さん「こちらのシャンプーボトルをどかすと、このようにピンクのカビの予備軍が発生しております。水はけの悪い部分というのはカビが発生しやすいです」
一見きれいに見える床にも、ブラックライトを当てると、カビの菌糸が含まれるとみられる汚れが白く浮き上がった。
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もしカビが生えてしまったらどうすればいいのだろうか。小松さんによると──
(1)半分にちぎったティッシュをねじり、半分に折ってこより状に
(2)浴室用のカビ取り剤を吹きかける
(3)作ったこより状のティッシュを重ねて張り付ける
(4)その上から、もう一度、カビ取り剤を吹きかける
こうするとカビに洗剤が浸透しやすくなり、10分ほど放置すると、カビが取りやすくなるという。
小松さん「年末までお掃除を持ち越さずに、この秋の時期、カビの生えやすい時期に、先に徹底的にお掃除するのがポイントだと思います」
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なぜ秋にカビが繁殖するのか。
矢口准教授「秋になると気温と湿度がちょうど梅雨時と同じようになることがあるので、カビが生えやすい状態になります」
カビが生えるには、温度と湿度、それにホコリなどの栄養源が必要だという。
矢口准教授「カビの栄養源になるホコリなどをまめに掃除して取り除くことによって、カビが繁殖しないような状況をつくることが必要です」「秋の方が梅雨時に比べると晴れている日が多いですので、外の乾いた空気を取り入れることで換気をよくしてやるといい」
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秋カビは意外なところにも。都内のクリーニング店でこの時期、多く持ち込まれるのが、カビの生えた服。国際クリーニング営業部の横山和明課長によると──
横山課長「今8月・9月は気温も高いですし、台風とかの影響で湿度が上がる。着用した衣類をそのまま保管されると、カビが生えてしまう」
この時期、着た後の衣類をそのまま湿気がこもるクローゼットに入れると、汚れや食べこぼしからカビが生えてしまうという。
横山課長「一度着用したスーツは、そのままクローゼットにしまわれずに、一度陰干しをしていただいて、ブラッシングをしてもらう」
夏物は、カビの栄養源となる汚れをしっかり取ってからしまうことが大切だという。
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カビは目に見えていない場所でも注意が必要だという。例えば、きれいに見える浴室の壁について、カビがいないか日用品メーカーが調べたところ、実は多くのカビの菌がいたことがわかった。
空気中に飛んでいるカビの胞子は、拡大した写真でもほとんど目に見えないが、カビの生えやすい浴室の壁などにこれらがつくと、菌糸を伸ばして成長し、目に見えるようになる。ここまで成長すると完全に除去するのも難しくなるという。
専門家は、風呂からあがるときには水切り用のスクイジーで水を切る、カビの栄養源となる石けんカスなどを洗い流す、といったこまめな掃除を、カビが見えないうちからしておくことが大切だとしている。
カビといえば梅雨の時期のイメージだが、秋も要注意だということがわかった。カビが原因で病気になる可能性もあるので、注意したい。