ペットの犬から“マダニ感染症”…防ぐには
厚生労働省は10日、徳島県の男性がペットの犬から、マダニが媒介する感染症「SFTS」に感染したと発表した。過去には感染した猫にかまれた女性が死亡したこともあったが、犬からの感染が確認されたのは世界でも初めて。男性はなぜ、SFTSに感染してしまったのか。そして、感染を防ぐポイントとは。
■SFTSとはどんな感染症か
SFTSは重症熱性血小板減少症候群という感染症で、一般的に、SFTSウイルスをもつマダニにかまれることで感染する。潜伏期間は6日から2週間で、その後、発熱や嘔吐(おうと)、下痢、筋肉痛などの症状が出る。
これまでに国内では303人の感染が確認され、そのうち59人が死亡。致死率は約20%とされている。
感染源となるマダニは、家にいるダニとは違う。山や草むら、畑などに生息していて、春から秋にかけて多く発生する。ちょうど今の時期も注意が必要。マダニは一度かむと数日間にわたって血を吸い続けるという。
■SFTSの感染ルートは
この感染症は、基本的にはウイルスをもっているマダニにかまれて感染するが、最近では、動物を介して人間に感染することもわかってきた。
今年7月に判明した事例では、去年の夏ごろ、西日本に住む50代の女性が弱った野良猫を病院に連れて行こうとしたところ、手をかまれてSFTSを発症。約10日後に死亡した。
つまり、感染した野良猫が女性の手をかんだことで、SFTSに感染したとみられている。
■ペットの犬から感染、今回の状況は
今回の男性は今は回復しているというが、ペットの犬から飼い主への感染。
犬がSFTSを発症し、えさを十分に食べられなくなったため、飼い主の男性は手のひらにえさを置いてぺろぺろなめさせて食べさせていたという。こうした世話をする中で手についた犬の唾液などを介して感染したとみられている。
つまり、SFTSを発症している動物の体液に触れ、その手で口や目などを触ると、感染する可能性があるということだ。
今回、犬から人への感染が確認されたのは世界で初めてで、注目されている。
■犬や猫との日常的な触れあいは危ない?
すべてのペットが危ないというわけではなく、厚生労働省は、健康なペットからの感染は心配しなくていいとしている。
一方で、ペットの具合が悪いときには注意が必要。異変がみられるときはすぐに動物病院へ連れて行くこと、濃厚な接触は避けて触った後は手をよく洗うことなどを呼びかけている。
■「ペットの世話 手洗い習慣に」
ペットとの触れあいは本当に心を癒やしてくれる。ただ、感染症のリスクもあるので、普段からペットの世話をする際には手洗いを習慣づけることも大切だ。