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この冬、注目!「強い信念」描く映画3作品

2017年12月7日 20:36
この冬、注目!「強い信念」描く映画3作品

 この冬、注目の映画を諏訪中央病院の名誉院長・鎌田實さんが紹介する。今回は、特に人が生きていく上で大切な「強い信念」が描かれた3本を選んだ。

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■300人ものユダヤ人の命を救った女性の物語

 まず1本目は、15日公開の『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』。ポーランドで夫と動物園を営むアントニーナは、愛する家族や動物たちと幸せな日々を過ごしていた。しかし、1939年、ポーランドはドイツ軍の支配下に。第二次世界大戦の中、ユダヤ人を動物園にかくまい、300人もの命を救った女性の物語だ。

 鎌田さん「この映画は実話に基づいたもので、アントニーナが命の危険を冒してまでも、必死にユダヤ人をかくまう姿が描かれています。彼女はドイツ軍の権力や偏見に支配されることなく、信念に従って行動し、支配されない生き方を見せつけてくれます。改めて信念を持って生きることの大切さを思い知らされました」


■ユダヤ人の大量虐殺めぐる真実を争う裁判

 2本目も実際にあったナチス・ドイツをめぐる裁判を題材にした『否定と肯定』(8日公開)。ユダヤ人の大量虐殺を否定する歴史家から、名誉毀損で訴えられたユダヤ人の女性歴史学者の裁判を描く。大量虐殺はあったのか、なかったのか、世界中のマスコミが注目する中、歴史の真実を争う裁判の結末とは…?

 鎌田さん「ナチスの大量虐殺については、これまでの膨大な資料がウソではないことを物語っています。映画では、真実を否定する人をどうやって論破していくか、真実とは何かを描いています。本当のニュースだけでなく、フェイクニュースがあふれる時代。間違っていても強く主張すれば、多くの人に認められてしまうような風潮に警鐘を鳴らしているようにも見えます。様々な情報があふれている今、本当に大事なことは何かが見えてくる映画です」


■愛する妻が黄泉(よみ)の国へ…2人の運命は?

 最後の1本は、これまでの2本とはガラッと変わったファンタジー作品で、9日公開の『DESTINY 鎌倉ものがたり』。舞台は、人間と幽霊や妖怪、魔物までもが仲良く暮らす古都・鎌倉。ミステリー作家と年の離れた妻は、その不思議な町で新婚生活を送る。しかし、ある日、妻の魂は黄泉の国へ連れ去られてしまう。愛する妻を取り戻すため、一人で黄泉の国へ向かう夫。2人の運命とは…?

 鎌田さん「『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴監督が人気コミックを実写化した映画。一見、荒唐無稽にも見えるんですが、映画だからこその世界観の中で、こうあったらいいなというのが、ある意味、リアルに描かれています。死んだはずの人がまだこの世にいろんな思いを持ちながらとどまっていることも、あるかもしれないなと思わせてくれます。子どもからお年寄りまで、どの世代も満足させてくれる日本流の壮大なファンタジー作品になっています」

■強い信念…「誇れる生き方」を描く3作品

 鎌田さんがこの3本を通じて伝えたいことは?

 鎌田さん「『誇れる生き方』です。今回、紹介した映画にはそれぞれ、人の強い信念が表れています。人の命を救うために…歴史の真実のために…そして愛する妻のために…それぞれ、信念を持って強く生きる姿が描かれています。私たちも、様々な困難や不条理に揉まれながら、今を生きていると思います。ただ、人としての真価が問われるのは、その生き方が誇れるものだったか…ということだと思います。それには、生きていく上での強い信念が必要なのではないでしょうか?」