認知症 特に注意が必要な人は?予防法は?
2025年には約700万人にのぼるといわれる認知症患者。65歳以上の高齢者、約5人に1人にあたる。
東京医科歯科大学・朝田特任教授「認知症予防となると糖尿病、高血圧、生活習慣病がある人は、若い時から注意して頑張っていただきたい」
特に気をつけるべき人は?そして、日頃からできる認知症予防とは?
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人の名前が思い出せなくて不安に思うことは誰しもあるものだが、年を重ねてくると、物忘れは増えてくる。だが、それが認知症によるものなのか、単なる物忘れなのか、見分け方がある。
■認知症と物忘れの違いは?
まず、単なる加齢による物忘れの特徴。
・体験したことは覚えているが、一部だけが思い出せない
・特に昔のことが思い出せない
・「忘れた」自覚がある
次に、認知症による物忘れの特徴。
・体験自体が思い出せない
・特に最近のことが思い出せない
・「忘れた」という自覚がない
認知症の場合、自覚のないまま、急に進行することもあるため、家族などが早めに気づいてあげることが大切だ。
■「チューリップテスト」で簡単チェック
他にも、簡単にチェックできる、「チューリップテスト」という、手の動きをまねる方法がある。認知症予防の第一人者、東京医科歯科大学の朝田隆特任教授に聞いた。
「チューリップテスト」
1:まず手をパンとたたく
2:今度はチューリップだといって親指と小指だけくっつけてチューリップが開いた形を作る
3:いったん手を離して親指と小指をくっつける。これが非常に難しくなる
これができない方は認知症だと一概にはいえないが、認知機能が低下している「可能性」があるので、できない人は、認知症に注意が必要だ。認知機能が低下してくると自分の体の一部を回転させることが、うまくできなくなるという。
■糖尿病患者は注意
他にも糖尿病の患者は注意が必要だ。実際に調査したデータがある。九州大学・久山町研究室の調査結果では、認知症には種類がいくつかあるが、最も多いアルツハイマー病と、2番目に多い血管性認知症で見てみると、60歳以上の糖尿病の人がアルツハイマー病を発症するリスクは、血糖値が正常な人に比べて、2.1倍。血管性認知症を発症するリスクは1.8倍となっている。アルツハイマー病と血管性認知症、この2つが認知症のほとんどを占めるのだが、血糖値の高い人は、認知症を発症しやすい、ということになる。
■認知症はどう予防すればいい?
認知症予防にはやはり運動、ウオーキングなどの有酸素運動が効果的だといわれている。ただ、ダラダラとゆっくり歩いていては、効果がない。例えば友達をウオーキングをしておしゃべりができない程度、苦しくて話せないくらいの速いスピードで歩くことが大切だ。キツいが休みを入れながら、2日に1回、10分間以上を目安に速めのウオーキングを続けるといい。運動は、認知症のリスクを上げる糖尿病などの生活習慣病対策にもつながる。
ただ年をとればとるほどキツい運動が難しい人もいる。そこで、先ほどの朝田特任教授に日常生活の中でできる予防法も聞いた。
■運動と料理が効果的
東京医科歯科大学・朝田特任教授「これはなんといっても料理です。料理というのは、まずメニューを考えることから始めますよね。食材を集めてくることもある。それから調理して、適当なタイミングで炒めるとか、(料理は)多くの知的なプロセスを積み重ねてできているので重要」
ただ料理を作るだけでも予防の効果があるという。認知症予防はいくつかの作業を同時に行うことが脳を鍛えることにつながる。新たなことに直面する、というのが脳への一番の刺激になるから、作り慣れた料理だけではなく、今まで作ったことのない料理に挑戦することが重要だという。男性も女性も新しい料理に挑戦してみる、というのも、いいかもしれない。