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2018年2月22日 19:10

終末期に心肺停止…救命処置は?医療の選択

終末期に心肺停止…救命処置は?医療の選択
(c)NNN

超高齢化が進む日本。今、終末期の高齢者が心肺停止状態となったとき、救急隊が駆けつけたものの救命処置を断られるケースが問題になっている。今回は、多くの人がいずれ直面する、人生最期の医療の選択について、諏訪中央病院の鎌田實名誉院長と考える。

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■「蘇生望まない」そのとき救急隊員は?

日本は、高齢者が急増するのに合わせて、死亡する人も急増するいわゆる「多死社会」を迎える。今回は、終末期を迎えた高齢者の容体が急変したときに、どんな対応ができるのか考える。

全国の救急隊員約300人を対象にした、厚生労働省研究班による調査では、「通報を受けて駆けつけた現場で、傷病者本人が心肺蘇生を望まないと書面で示されたケースを経験したことがあるか」と聞いたところ、17%が「ある」と答えた。そのうち、本人の意思通りに心肺蘇生を中止した隊員は26%。心肺蘇生を続けた隊員は70%という結果だった。また、書面がなくても、「家族から『本人は蘇生を望んでいない』と説明された」などの経験がある隊員は49%いたという。

救急隊員は命を救うのが仕事だ。「蘇生を望まない」と紙に書かれていても、多くのケースで、心臓マッサージなどの救命処置を続けるという判断をしていることがわかる。ただ、その判断が本当に正しいのか、救急隊員が困惑するケースが増えてきている。何か指針のようなものはないのだろうか。


■臨床救急医学会による心肺蘇生中止の指針は?

心肺蘇生の中止については、救急隊の活動の基準がない地域もある。そこで、去年4月、日本臨床救急医学会は、心肺蘇生の中止に関する指針を公表した。

指針では、1.救急隊員は心肺停止した患者に救命処置を開始する。2.その処置を行っている間に、かかりつけ医が書いた指示書や本人が作成した文書など、本人の意思がわかる書面が示された場合、3.かかりつけ医に連絡し、もし連絡がつかなければ、救急隊と連絡を取っている別の医師に連絡して、4.医師の指示のもとに救命処置を中止するとしている。最終的には、医師の判断によって中止するかどうかを決めるということになる。


■意思を家族らに伝えることが大切

この指針を出した日本臨床救急医学会の坂本哲也代表理事は、自分の意思を医師や家族に伝えておくということが大切だと話す。

坂本代表理事「本来望むような安らかな最期を迎えるということを第一に…と。そのためには、患者さんが自分の最期をどのように迎えるのかについて、家族とかかりつけの医師とよく話をして、人生の先が限られるような状態であれば、書面を準備しておくようなことが必要かなと思います」

また、いざというときのために、すぐにでも高齢者自身や家族ができることがある。これは一部の自治体ではすでに取り組んでいて、「救急医療情報」といって、病歴や飲んでいる薬、かかりつけ医や家族の連絡先などを書いた紙を、冷蔵庫などわかりやすい場所に貼っておけば、もし本人が意識をなくした場合、すぐに連絡を取ることができる。


■自分が判断できるうちに自己決定と話し合いを

大事なのは「自己決定」と「話し合い」。まず、自分が判断できるうちに最期の医療をどうするのか自己決定をする。そして、話しにくいテーマではあるが、家族も本人の意思を聞き取るようにする。今回は一刻を争う心肺が停止したときの話だが、単に蘇生を行うのかどうかだけではなく、病状が悪化したときに、人工呼吸器をつけるのか、胃に直接栄養を入れる胃ろうなどをするかなど、延命治療についても話し合っておくことも大切だ。