味は真鯛?値段は半額…「いずみ鯛」の正体
高級魚の真鯛(まだい)にも劣らない味わいだという魚を、先週から大手スーパーが全国で販売を始めた。最大の売りは低価格。真鯛の半分ほどだという。「いずみ鯛」という名前のこの魚、その正体とは?
◆「いずみ鯛」の魅力は?
千葉・佐倉市のスーパー『イオンスタイルユーカリが丘』に並んでいたのは、聞き慣れない「いずみ鯛」という魚。こちらのスーパーでは、先週から全国およそ1300の店舗で販売を始めた。試食した人は──
いずみ鯛を試食「おいしい。さっぱりしてます、くどくなくて。鯛のマリネにとても似ている」
高級魚として知られる真鯛と遜色ない味わいだという、いずみ鯛。最大の売りは、その値段。真鯛のおよそ半額だという。
イオンリテール広報部 栢野博子部長「安定的に年間、魚を供給できる体制が整いましたので。“お値打ちな価格”で供給できるということで、消費者に紹介」
さらに、いずみ鯛はアメリカの会員制スーパー「コストコ」でも販売されている(切り身1.13キロ 1928円)ほか、通販サイト「Oisix」では「白身魚カルパッチョ(598円・税抜き)」として販売。売れ行きも好調だという。
広がりつつある、いずみ鯛。いったいどんな魚なのだろうか。
◆50年前にも出回った「いずみ鯛」…再び流通したワケ
実は、いずみ鯛とは、アフリカなどに生息する「ティラピア」という淡水魚。日本ではおよそ50年前にも食用として出回った。
ところが、当時は生臭い味などから消費者に受けいれられず、ほとんど広がることがなかったという。それが再び流通したのには、あるワケが。
30年以上いずみ鯛を育てている、岡山・真庭市の養殖場を訪れた。いずみ鯛は、この地域では「黒姫鯛」と呼ばれている。ある方法で課題だった“生臭さの解消”に成功したという。その方法は──
湯原漁業協同組合・山口正義組合長「“温泉”使いながらなんで」
使用されている温泉は硫黄が入っておらず、にごりのない無味無臭のアルカリ性の泉質。地下水と混ぜ合わせ養殖したところ、いずみ鯛の持つ生臭さが消えたという。
◆さらなる魅力も
湯原漁業協同組合・山口正義組合長「鯛の養殖と比較した場合、短期間で大きくなる。半値ぐらいで育ちあがる」
真鯛の養殖に比べ、およそ半分の期間で出荷できるサイズにまで成長するため、エサ代などのコストも半額で済むという。
いずみ鯛は、地元の旅館『湯の蔵つるや』の夕食にも取り入れられているという。
白く透き通った身の「黒姫鯛のお造り(3人前3000円・税抜き)」は、高級魚・真鯛の刺し身に負けない見た目。ポン酢につけていただくと、あっさりとした味わいで、女性客からも好評だという。
新たな養殖魚として注目されている、いずみ鯛。今後さらに広がりを見せるのだろうか。