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死刑執行 松本元死刑囚“最後の姿”は

2018年10月25日 19:05
死刑執行 松本元死刑囚“最後の姿”は

地下鉄サリン事件など、一連のオウム真理教事件を主導した麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚の死刑が執行されてから3か月あまりがたった。ついに事件の真相を語らなかった教祖の松本元死刑囚。最後に、どのような姿を見せていたのだろうか。

    ◇

オウム真理教の教祖、麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚。「この世の救済」という名の下、数々の凶悪犯罪を引き起こした。逮捕から23年。ついに行われた松本元死刑囚の死刑執行。あれから3か月あまり。松本元死刑囚の死刑執行前の姿が明らかになって来た。

今月。浅川幸子さん(55)。オウム真理教による地下鉄サリン事件の被害者。兄・一雄さんは事件以降、ずっと幸子さんを支えてきた。幸子さんはほとんど目が見えず話す事もできない。

23年前の1995年、地下鉄の車内に猛毒の「サリン」がまかれ、13人が死亡した地下鉄サリン事件。オウムが引き起こしたこの未曽有の無差別テロに幸子さんは通勤途中、巻き込まれた。その後、自宅で療養していたが去年10月、けいれんを起こしてからは入院生活が続いている。

記者「オウムの元死刑囚たちの死刑があったんですけど、幸子さん知ってます?」

幸子さん「(うんうんとうなずく動き)」

必死に答えようとする幸子さん。今も癒えない苦しみと闘っている。

被害者への謝罪もなく、事件の真相も語らないまま行われた松本元死刑囚の死刑執行。執行前の松本元死刑囚の姿のイラストは実際に見た複数の関係者の証言をもとに再現したもの。逮捕前より少し痩せ、中肉中背。トレードマークだった長い髪は刈りあげられ、坊主頭だ。紙おむつをするなど、生活には補助が必要だったという。

松本元死刑囚の執行直前の最後の言葉。

刑務官「遺留品や遺体についてはどうする?」

松本元死刑囚「ちょっと待って…」

黙って考え込んだという松本元死刑囚。

刑務官「誰でもいいんだよ、妻、長女、二女、三女、四女とかいるんだろう。どうするんだ?」

松本元死刑囚「…四女」

遺体の引き取り手に四女を指名。その直後、死刑が執行されたという。

死刑執行の翌日、松本元死刑囚の四女に同行し、遺体と対面した滝本太郎弁護士は――

滝本弁護士「(遺体の様子について)松本智津夫だなと。麻原彰晃ではなく松本智津夫として死んだんだなと。顔まわりを見られただけです。まぁ穏やかな顔でした。(Q:遺骨に関して四女はどのように思っている?)引き取るつもり。そして海に散骨して…さよならしようと、ずっと話してます」

しかし、遺骨を巡る問題は今も解消していない。松本元死刑囚の妻や三女など他の4人の子どもは執行の翌日、遺骨を妻に引き渡すよう要求書を提出。四女は遺骨を引き取っておらず、関係者によると、遺骨は現在も東京拘置所内の生体認証が必要な部屋で、鍵付きの金庫の中に入れられているという。

オウム真理教の後継団体「アレフ」は、松本元死刑囚の死刑執行後も、信者向けのセミナーを開いていた。

記者「Q:日本テレビなんですけど、今日は(セミナーで)何が行われてるんでしょうか?」

アレフ信者とみられる人「……」

記者「Q:まだ松本元死刑囚に帰依しているのでしょうか?」

アレフ信者とみられる人「………」

執行後、公安調査庁はアレフへの警戒を強めているという。

公安調査庁情報分析官・青木達雄氏「(後継団体について)教祖(松本元死刑囚)の死亡は教団にとって大きな出来事だし、トラブルの元になりそうな事項はありますので引き続き警戒していく」

今年7月、公安調査庁は死刑執行後、アレフなどに対し、立ち入り検査を行った。その際に撮影されたアレフ内部の写真では、祭壇の両側に松本元死刑囚の好物だったというスイカやメロンなどが供えられていた。松本元死刑囚への供養のためなのだろうか。アレフ側は死刑執行後、私たちの取材には応えていない。

地下鉄サリン事件の被害者・浅川幸子さん。家族は、オウム真理教による事件の風化を懸念している。

兄・一雄さん「僕らとしてはそういう大きな事(死刑執行)があったとしても、妹がわっと良くなるわけでもないし、僕らの生活ががらっと変わるわけでもないので、そこに関しては何も変わらず今まで通りの生活ですね。ありきたりのことですけど風化して欲しくない。忘れてしまえば同じ事を繰り返す可能性がある」

いまだに残り続ける被害。オウム事件はまだ終わっていない。