【年金密着】年収3000万円の売れっ子漫画家が突然視力を失い、月3万5000円の年金生活に…“光”を失った絶望の中でも再び笑顔になれた背景には、献身的に支えてくれる“ギャル”の存在
2023年12月に『ミヤネ屋』が密着したのは、最高年収が3000万円だったというホラー漫画家・御茶漬海苔さんです。病気で視力を失い働くことができず、月の生活費は約3万5000円の年金のみ。正に“どん底の生活”だと語っていました。あれから1年、御茶漬海苔さんに笑顔が戻ったワケとは―。
■「一食100円か200円のパン」売れっ子漫画家に突如訪れた“どん底人生”「描けなくなっちゃったんです」
『ミヤネ屋』は、これまで多くの年金受給者の皆さんに協力していただき、悩みや困りごと・ちょっとしたこだわりなど、様々なお話しを伺ってきました。2023年12月、私たちが取材したのは、1か月の収入が約3万5000円の年金のみだという男性(当時63)です。
実はこの男性、『御茶漬海苔』というペンネームで、1984年に漫画家としてデビュー。ホラー漫画界では知る人ぞ知る存在でした。
(御茶漬海苔さん/当時63)
「連載がいっぱいあったんで。一番描いている時で、一か月に600ページぐらい」
Q.当時の最高年収は、いくらでしたか?
(御茶漬海苔さん)
「3000万ぐらいでした」
しかし、突如、漫画家引退を余儀なくされる事態が…。
(御茶漬海苔さん)
「目が見えなくなっちゃったんで、描けなくなったんです。糖尿病のせいです」
2022年、62歳のときに、糖尿病で右目を失明。38年の漫画家人生は突然、終わりを迎えました。
そんな御茶漬海苔さんを“尊敬する師匠”と仰ぐのが、ギャル漫画家で知られる浜田ブリトニーさんです。
(ギャル漫画家・浜田ブリトニーさん)
「小さい時から読んでいたので、『御茶先生だ~♪』みたいな感じで、当時、すごく興奮した覚えがあります。俯瞰の絵の構図が得意で、それがホラー漫画にすごくマッチしているんです」
ブリトニーさんは、尊敬する御茶漬海苔さんを日常的にサポートしているといいます。
(ブリトニーさん)
「現在、うちのスタッフがローテーションで、部屋の掃除をしたり、一緒に出歩いたり、そういった協力はさせていただいています」
右目の視力を失っても、漫画への思いは変わらない―。ブリトニーさんの助けを借りながら、ストーリーを考える原作担当として、再出発しようとしていました。
しかし…。
(御茶漬海苔さん)
「左目のほうが、この1~2週間で見えなくなったんです。介助なしで、外に出られない感じです」
右目だけでなく、左目もほとんど見えない状態になったといいます。
また、収入が年金のみなのに対し、生活の支出は、家賃を含めて約十数万円。
(御茶漬海苔さん)
「年金は家賃にも足りないんですけど、それでも、やっていくしかないから。貯金で何とかなると思いたいんだけど、きついですね」
漫画家として稼いだ貯金を取り崩しながらの生活。そんな中、行っていた節約が―。
(御茶漬海苔さん)
「工夫は、食べ物を減らすだけですね。一食100円か200円にすれば」
Q.どんな物を食べるんですか?
(御茶漬海苔さん)
「パンとか、そんなもんです」
しかし、極端な節約を続けても、貯金は減る一方で…。
(御茶漬海苔さん)
「今は左目が見えないので、それの手術で医療費がかかると思います」
左目は、治療を続けると再び見えるようになる可能性があると語っていました。
■初密着から1年―手術後もほとんど視力は回復せず、傍らにはあの“ギャル”の姿
あれから1年が経った2024年12月。絶望の漫画家、その後の生活とは―。
(『ミヤネ屋』ディレクター)
「お久しぶりです」
(ブリトニーさん)
「お久しぶりでーす!」
(御茶漬海苔さん)
「お久しぶりです」
Q.外には、どれくらいの頻度で出ているんですか?
(御茶漬海苔さん)
「2週間に1回ぐらいですかね。ブリトニーさんが来てくれて、『散歩をしましょう』と言って行きます」
(ブリトニーさん)
「目が見えないけど、毎日、先生楽しそうなんで。あと、元気になっているのがわかるので、それで私は十分です」
手術後もほとんど視力は回復せず、車いすでの外出を余儀なくされているといいます。
■自宅を自力で移動できるように…いろんな人に支えられ、元の生活の一部を徐々に取り戻す
それでも、1年前はなかった明るい表情が見られる場面も―。この日、二人が向かったのは、浅草おにぎり『はるちゃん』です。
(浅草おにぎり『はるちゃん』・堀江麗奈代表)
「先生、こんにちはー!いらっしゃいませ、いつもありがとうございます」
(御茶漬海苔さん)
「いえいえ~」
Q.先生のお気に入りの具材は?
(御茶漬海苔さん)
「サバです」
(ブリトニーさん)
「いつも一緒なんですよ、頼むものが(笑)」
(堀江代表)
「そうですね(笑)サバか、たらこも食べますね」
(御茶漬海苔さん)
「たらこも食べます」
そして、今度は寿司酒場『えどまる』へ。
(ブリトニーさん)
「大将!今日、来ました」
(御茶漬海苔さん)
「どうも、どうも」
(寿司酒場『えどまる』・足立裕代表)
「目が見えていた頃、2日に1回ぐらい、ずっと来ていただいていました。最初、お客さんが全然入っていなかったけど、『頑張って』とずっと言ってくれていて」
(ブリトニーさん)
「今、満席じゃないですか(笑)」
(足立代表)
「おかげさまですよ、本当に」
(御茶漬海苔さん)
「凄いね」
目が見えていたころに通っていたお店を訪ねては、店員さんと仲良くおしゃべり。
(『東京 浅草チキン』ハッピー溝上さん)
「わかりますか?ハッピーですよ」
(ぷりてぃ溝上さん)
「こんにちは~。顔色が良いですね」
今月の年金、最初の使い道は、大好物の唐揚げをご購入。
(ブリトニーさん)
「本当に熱いですよ」
(ぷりてぃ溝上さん)
「ふーふーしてくださいね」
(御茶漬海苔さん)
「ふーふー…熱い~(笑)」
元の生活の一部を徐々に取り戻している、御茶漬海苔さん。
さらに、自宅の生活にも変化が―。
以前は室内の移動もブリトニーさんやヘルパーさんに頼っていましたが、家具の配置や間取りを覚え、自力で移動ができるようになったといいます。
(御茶漬海苔さん)
「本当は怖いですよ。だけど、まあ、ここまではできるようになったんで、大丈夫かなと思っていますけどね」
■再び“光”を取り戻す―大切な目標に向かって、今後も二人三脚で
目が見えなくても生きていく―。そのために、身を切る覚悟で収入を得たといいます。
(御茶漬海苔さん)
「この前、ブリトニーさんのお店で、絵を売ってくれたんですよ。その絵の収入が少しあります」
Q.過去に手掛けられた原画ですか?
(御茶漬海苔さん)
「そうです、原画を売りました。一枚12万~13万円ぐらいで売っていました。ちょっと悲しかったけど、しょうがないですね、こればっかりは」
我が子のような存在の『原画』を手放す決意をした御茶漬海苔さん。
さらに2025年には、“ある計画”も―。
(御茶漬海苔さん)
「私の漫画を、中国のクリエーターが、スマホで見られるように描き直してくれるらしいんですよ。そして、それをネットに出すという感じだね。楽しみにしているんですけどね」
他にも、読み書きができないため、思い浮かんだ物語を録音し、音声のみの小説として配信・販売しようと計画しているといいます。
そして、もう一つ、何より大切な目標というのが―。
(御茶漬海苔さん)
「ブリトニーさんが、新しい治療ができたら受けさせてくれると言っていますんで、そうしたら、もう一回、手術してもらおうと思っています」
(ブリトニーさん)
「どんどん医療も進化していくと思うので、希望を捨てないで、これからも、いろんな病院に行ったり、治療を調べていきたいなと思っています」
(御茶漬海苔さん)
「頑張ってやっていきたいと思っています」
(ブリトニーさん)
「やっていきましょう!」
(御茶漬海苔さん)
「はーい、やっていこう」
(ブリトニーさん)
「おー!うふふ(笑)」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年12月16日放送)