自動運転 条件付きでスマホ使用OKへ
政府が2020年から、条件付きの自動運転の実用化を目指す中、2018年12月、警察庁は自動運転に対応できるよう道路交通法を見直し、改正案を公表した。
自動運転は、ドライバー自身がすべて運転する「レベル0」から、ドライバーが一切運転にかかわらない完全自動運転の「レベル5」まで、6段階に分かれている。
政府が2020年からの実用化を目指しているのは「レベル3」だ。「レベル3」は条件付きの自動運転で、渋滞中の高速道路など特定の場所や環境下では自動運転ができるが、その状況から外れた時には、ドライバー自身が運転するというものだ。2020年時点では、渋滞中の高速道路に限定した導入となる見込みだ。
警察庁がまとめた道路交通法の改正案には、今、道路交通法で禁止されている、走行中の携帯電話・スマートフォンの使用やテレビの注視などについて、ドライバーがすぐに運転を引き継げる態勢であることを条件に認めるという内容が盛り込まれた。
「レベル3」の車は、現在、メーカーが開発中だが、荒天時や高速道路以外など自動運転ができる条件を外れた場合、システムが音声や振動などで警告をだし、ドライバー自身による運転を求めてくる。
その際に、すぐに運転の引き継ぎができる態勢でいれば、携帯電話・スマートフォンで電話やメールをしたり、テレビや映画を視聴したり、お弁当など簡単な食事をしたり読書をしたりといったことが容認される。ただし、飲酒や睡眠、運転席から離れることなどは、引き続き、認められない。
改正案では、自動運転での走行中にドライバーに認められた行為は増えるが、ただちに運転を引き継げる態勢にない中で事故を起こせば、現在と同様に道路交通法の安全運転義務違反に問われる可能性がある。
こうしたドライバー義務の軽減は、あくまでも「レベル3」の自動運転機能がついた車のドライバーに限られ、自動運転システムがついていない車のドライバーや、「レベル2」以下の自動運転車では引き続き携帯電話の使用やテレビやカーナビの注視は認められない。
また、今回の改正案では、罰則が強化されたものもある。
警察庁によると、去年、携帯電話の使用などによる死傷事故は2832件にものぼる。5年間でおよそ1.5倍に急増しており、深刻な状況である。
自動運転システムがついていない車や「レベル2」以下の自動運転車で走行中に、携帯電話やスマホを使用する、いわゆる「ながら運転」については、現在5万円以下の罰金が科されているが、改正案では、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金に引き上げられる。
また、「ながら運転」で事故を起こすなどした場合は、現在、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金とされているが、改正案では、1年以下の懲役または30万円以下の罰金に引き上げられる。
「レベル3」の車であっても、すぐに運転を引き継げる態勢でいるという条件を外れて、携帯電話やスマホを使用すれば、同様の処分が科されることになる。
自動運転についての改正法案は、2019年の通常国会に提出され、2020年前半の施行を目指している。警察庁は、2019年1月23日(水)まで国民からの意見募集を行っている。