日本の伝統文化「経験なし」…でも本当は?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「オピニオンズ」。今回の話題は「経験したことがある日本の生活文化・娯楽」。雑誌「Discover Japan」の高橋俊宏編集長に聞いた。
茶道や華道、食文化など、日本の生活文化や娯楽について、文化庁が15歳から79歳の男女にアンケートを行った。「日本の生活文化・娯楽を趣味・習い事として経験したことがあるか」という質問に対し、「ない」と答えた人が28.9%と、1位の「書道(43.1%)」に続いて、2位に入った。以下は「茶道(21.3%)」「けん玉など、むかしからの遊び(19.2%)」「華道(19.1%)」と続く。
ネット上では「増える訪日外国人に、日本文化は教えられない」「華道をしているが、高齢者が多い…」「着付けは面倒だけど、初詣は着物で出かけた」という声が聞かれた。
――この結果をどうご覧になりますか。
『実はみんなやってみたい!』と書きました。書道は、書き初めなどでやっている子どもたちは多いかもしれませんが、茶道や華道をやってみたいという女性の声を聞くことも多いんです。特に和装などもステキに着てみたいという欲求もあると思いますし、男性も実は和装はそこまで着付けも難しくないので簡単に楽しむことも可能なんです。
だから潜在的にはみんな「興味がある」。でも「どこでやったらいいのかわからない」というところがあると思います。そこをうまくつなげられればいいと思っています。
例えば、いわゆるお茶の家元さんだったり、例えばお香をかぐ「香道」というのもあったりするんです。そういう家元さんから、もうちょっといろんな人に伝えたいという要望もあるんです。
例えば「日光江戸村」のいろんな建物の中で、茶道や香道ができるようなブースをつくって、この日に行くと日本文化を体験できるみたいなことをエンターテインメントを加えてやってみると、この潜在的な人たちが興味をもってやりはじめるんじゃないかと思います。つまり「場をつくる」と。
――みんな“きっかけ探し”をしているということなんですね。
「どこで始めればいいのか」「どこで教えてくれるのか」、そこだけちょっと教えてあげたり、その場所をつくってあげると。きっと潜在的なニーズはあると思います。
【高橋俊宏氏プロフィル】
雑誌「Discover Japan」の編集長。岡山出身で幼少期から父に連れられ美術館に足を運び、絵画や備前焼、刀剣などの伝統文化に触れてきた。出版社では「人の暮らし」と共にある建築やデザイン、インテリア雑誌の編集を担当。さらに、日本のデザインやライフスタイルに注目し、雑誌「Discover Japan」を創刊した。それから10年、2018年11月に「株式会社 ディスカバー・ジャパン」を設立。日本を発掘し、その魅力を世界に発信し続けている。
【the SOCIAL opinionsより】