南海トラフ沿い先月は「特段の変化なし」四国震度6弱もプレート状態に影響なし
気象庁は南海トラフでの巨大地震発生の可能性を評価する定例の検討会を開き、先月は「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。先月、四国地方で震度6弱を観測した豊後水道を震源とする地震については、南海トラフに与える影響はないと評価しました。
気象庁は今後30年以内の発生確率が70%から80%とされる南海トラフ巨大地震について、専門家による定例の評価検討会を開き、想定震源域やその周辺でおきた地震や観測データの分析をおこないました。
先月1日から今月7日までの期間に南海トラフ巨大地震の想定震源域とその周辺ではマグニチュード3.5以上の地震が22回発生したということです。
このうち、最も規模の大きかった地震は、先月17日、豊後水道を震源とするマグニチュード6.6の地震で、愛媛県と高知県で震度6弱を観測しました。
この地震は南海トラフ巨大地震の想定震源域の中でおきましたが、フィリピン海プレートの内部で発生したもので、想定されるプレート境界の地震とはメカニズムが異なるほか、地震の規模が小さいことから、気象庁は、南海トラフ沿いのプレート境界の固着状態に特段の変化をもたらすものではないとしています。
豊後水道では、その後も地震活動が続いていて震度6弱の地震を含めて、今月9日午後3時までに震度1以上の地震が75回発生しているということです。
一方、静岡県御前崎などでは南海トラフでのフィリピン海プレートの沈み込みに伴って長期的に地盤の沈降が観測されていますがその傾向にも大きな変化はないとしています。
検討会は、こうした観測結果を総合的に判断し南海トラフ周辺で「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
評価検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は、先月発生したマグニチュード6.6の地震はプレートの固着状態を変化させるものではなかったものの南海トラフ沿いでは依然として大規模な地震がおきる可能性は高く、広い範囲で、強い揺れと大津波に見舞われるおそれがあるため、避難経路の確認など日頃からの備えを続けてほしいと呼びかけています。