中川翔子×いじめ4 死のう…とめた猫
■いじめはなくならない
いじめ自体がこんなに長年にわたって、議論されて話題にもよく挙がるけど、やっぱりいじめが原因とか学校が原因で命を絶ってしまう10代の子がすごくまだ多いままなんですよね。いじめはなくならないかもしれない。なぜなら(私たちは)生き物だから。猫とか動物だって弱い者いじめたり、合う合わないってあるんですよね。合わないのは当然だと思うんです。学校っていうシステムで、1つの箱に30人とか40人とかたまたま集まっているだけなのでそれは相性があります。それは「席替えガチャ」だったりとか「先生ガチャ」みたいなことに失敗しちゃうと起きるんです。
■みんなと仲良くする必要は無いはず
全員と仲良くする必要は全然なくて、みんなと仲良くできる人って才能だから素晴らしいと思うんですけど、本当は友達って一人でもいれば大丈夫だと思うんですよ。だけどカーストってものがあるとなんとかうまいこと立ち振る舞わなきゃって、すごくビクビクして一挙手一投足失敗できないみたいな空気があると思います。さらに今はSNSでのいじめもあるので、学び以外の場所で空気読まなきゃとかすごい神経をすり減らしちゃうんですよね。でも本当の意味で、楽な自分でいられる相手に出会えたならそれは一人でも全然大丈夫なことだし。いなかったらいなかったで学校で無理して作ることもないと思うんですよね。
■死にたい衝動がおさまるのは“ささやかなこと”
10代の時はパワーがあるからできればとどまる勇気を持ってくれたらいいなと思う。そして1日ずつ時間はかかるかもしれないけど死ぬ以外の方法で気分を紛らわせてほしい。ただ死にたいって衝動が襲ってくる時があるかもしれない。私も蓄積しちゃって10代の時に死のうとしたことがありました。それはもう自分でも心の振り幅を制御しきれないものだったりして。18歳まではそういう子どもの脳みそがあるんだと思うんです。でもそういう衝動が強い時ほど、ほんのささやかなことで衝動がちょっと和らぐんですよ。
■猫が私の自殺をとめた
たとえば私の場合は、もう(ロープに)首を引っ掛けて体重をかけてっていう時に猫が通りかかったんですね。ちょっと猫をなでてからにしようかなって思った。そうしてるうちに衝動が少し和らいだのがあったりとか。だからもし誰かしんどそうな子がいたらその話を無理やり聞いて何かしようとするのでもなくて、違うことで心のチャンネル・角度を切り替えるような、この映画が面白そうだよとか。このゲームようよとか。ささやかなことでいいから話かけてみてあげてほしいなって。おはよう。でもいいし。だからすごいしんどい仕事のときは1回寝て、何かを食べるとか好きな人のアカウント見るとか。何でもいいから死ぬじゃないことで穴をふさぐ行動をいっぱいし続けてほしい。そのうち好きなことが少しでも見つかれば、未来の自分を助けることに繋がると思う。
■10代の好きは“一生モノの命綱”
10代のうちに見つけた好きなことって一生好きなので。死なないでいれば生きててよかったって上書きできる時が絶対くるって今は思います。若くして亡くなってしまった友人がいて、そのことを思い出すと「もう少しだけ乗り越えて生き延びてくれていたら」、「もしそのタイミングで誰かが、その時その瞬間そばにいられたらよかったのにな」ってずっと思っちゃいますよね。だからお願いだから生きてほしいです。
よく考えたら命って先祖代々の奇跡の連鎖の最先端にある奇跡の塊なので、それもわからず攻撃してくる人って本当に他人だしどうでもいいですよ。その人の人生は関係ない。しんどい時って未来のことなんて考える余裕なんか全然なかったけど、一個しかない自分の奇跡の塊である命をどう磨くかって考えてほしい。そのしんどい時間が本当は経験値になっていて、しんどさから逃れるためにでいいから、穴を好きなことで塞いでほしい。これが好きとかこのゲーム面白そうとか。なんでもいいですよ。勉強に役に立たないことでいいから。それがいつか、未来のマイレージになっていて夢と未来を連れてくるんです。
■本にも込めた、あの頃の自分に伝えたい言葉
だから、今回の本(「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない。)を書くときでもあの頃の自分と会話しながらというか。
「卒業すれば楽になるよ。その先のほうがいいんだ。」みたいなことを言ってくれた当時の大人に、「うるさい!なんて無責任なんだ!私はあなたと違って明日も学校行かなきゃいけないのに!!」とすごく思っちゃったのを覚えています。
大人の時間の感覚とあの頃の自分のしんどさっていうのはズレが生じちゃうと思うんです。だいぶ違っているので。だから押しつけにならないようにそっとなでるような言葉を見つけたいなって。するとそういうことで何かできないかなって思って。
だからあの頃の自分に言いたいのは、「すごいしんどいかもしれないけど、なんとかそのまま死なないで。何してもいい。夏休み腐っててもいいから。ネットをずっとやっててもいいし役に立たなそうなことでいいから。そのまま好きなことで穴をふさいでてね」って、そのときにやったことがたくさん未来を生きていてよかったに変わったよって言いたいな。遠すぎてたぶん当時の自分は今30代になって、こんなに色々なことができるなんて想像もできないと思う。「死なないでいてくれてありがとう」って言いたいなって思うんです。