ホントに役立つ日本語指導とは?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「ホントに役立つ日本語指導」。カメルーン生まれ日本育ちの漫画家、星野ルネ氏に話を聞いた。
文部科学省によると2016年、公立の小中高校において、日本語指導が必要な児童生徒は約4万4000人で、この10年間で1.7倍に増加している。また、日本語指導が必要な児童生徒が在籍する学校のある市区町村は、全体の半数を超える53.6%にのぼっている。
今後さらなる増加が見込まれる状況に、文部科学省は有識者会議を設け、外国人児童生徒等の教育の充実について検討を始めている。
――カメルーン生まれ日本育ちの星野ルネさんに、本当に役立つ日本語指導とはどういったものなのか?ご意見をうかがいます。フリップをお願いします。
「ロールプレイ」です。
4歳で日本に来てから、どういうプロセスで日本語を覚えたかというのを、漫画で一度紹介していまして、僕が日本語を覚えた場所は“おままごと的”な遊びだったんです。色々な役や設定になって遊べる「ロールプレイ」、友達とおもちゃを使って色々なシュチュエーションで遊ぶんです。
そのときに言葉はわからないけど、友達が話しているのを見て、こういうときはこの言葉使うのか、こういうときはこう言うのかっていうのを耳で覚えて、友達が話しているのを見て、まねして自分もやってみて、それぞれがうまくいくと楽しくて。
机に座ってやる勉強というのは、どうしても疲れるじゃないですか。飽きちゃうでしょ。でも遊びは楽しいので、どんどんこうやっていって遊んでいって、自然と覚えていって、しかも時間が気にならないので、日本語に触れる機会が増えて結果的に覚えられるということなんです。
――自然と楽しんで覚えていけるということなんですね。ただ、私も実体験として話しかけたいけれど、どう話しかけて良いのかわからないということというのがあるじゃないですか?どうやって仲良くなればいいと思いますか。
そうですね、やはり言葉が通じない相手と話すのは難しいんですよね。世間話というのは、意外とハードルが高いんですよ。だから例えばゲームのような遊びを通して、まず触れ合うというのは結構有効な手段だと思います。
――ゲームですか?
例えば自分のことなんですけど、僕、高校に上がったときに友達ができなかったんですよ。実は自分が人見知りだということに、高校生になって気づいたんです。なかなか他の生徒と打ち解けられなくて、まったく会話ができなかったんです。
そんなあるとき、他の生徒がトランプの大富豪で遊んでいたんです。僕、大富豪がすごく好きなので、やりたそうな顔でそれを見ていたら、そのうちの生徒の1人が、僕に気付いて「一緒にやる?」と言ってくれて「やる」と言って、参加したんですね。
トランプのゲームというのは話す言葉のキーワードが限られているし、状況もわかりやすいので、自然と会話が生まれるんですよ。しかもその生徒たちは、僕の見た目で僕が日本語を話せると思っていなかったんですよ。「あっ、日本語話せるの?」みたいになって、この見た目で学ラン着てるいだけなので、しゃべれないと思われていたけど、いざ一緒に遊んでみると僕は日本語がしゃべれた。彼らには、話せないという思い込みがあって、だから尾崎さんの経験というのも、多分思い込みが大きいと思うんです。
――そうですよね。
だから、そういう簡単なゲームのようなコミュニケーションで、近づいて話して思い込みを打ち破る。そういうことだと思います。
――ハードルが高く感じるんじゃなくて「みんなで遊ぼうよ」という、そういう空気を作っていけるといいですよね。
そういう環境があると、日本語のしゃべれない人も入りやすいですよね。
【the SOCIAL opinionsより】