“早産知って”ママが写真展 体重わずか370グラムで…
日本では、産まれてくる赤ちゃんの約20人に1人が、出産予定日よりも前の37週未満で生まれています。17日は、こうした早産で産まれた子どもや家族への理解を深めようと定められた「世界早産児デー」です。当事者の思いを取材しました。
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17日、横浜市で開かれていた写真展。11月17日が「世界早産児デー」であることにあわせて始まったもので、小さく産まれた赤ちゃんの写真や、思い出の品などが展示されています。
早産とは出産予定日よりも早く、妊娠22週から37週未満で出産することで、早産で生まれた赤ちゃんは去年1年間で4万3000人以上にのぼり、全体の約5.6%にあたります。(厚労省による)
写真展を主催した団体「かながわリトルベビーサークルpena」の代表、坂上彩さん。自身も早産の経験者です。
早産を経験 坂上彩さん
「娘の芽(めい)です。370g、24週4日で産まれて」
5年前、妊娠24週と4日で娘の芽ちゃんを出産しました。
「もぞもぞしてるね」
「もぞもぞしてる」
体重はわずか370グラムでした。
早産を経験 坂上彩さん
「『産まれてきてくれてありがとう』って言いたかったのに、出てきたの(言葉)が『ごめんね』だった」
“小さく産んでしまって申し訳ない”と坂上さんは自分をせめたといいます。
約4か月間の入院生活を経て、2300グラムほどまでに成長して退院した芽ちゃん。
いまは5歳になっています。
しかし、これまでの成長過程でも、小さく生まれたからこそのつらい思いを何度も味わってきたと言います。
見せてくれたのは、母子手帳。月齢に応じた体重や、発達の目安などが示されていますが、芽ちゃんには、あてはまらないものばかり。
存在を否定されているような気持ちだったといいます。
早産を経験 坂上彩さん
「本当に苦しくて、いっぱい泣いたことがあったので、こんな思いを同じように早産で産んだママたちがするのはすごく嫌だ」
そこで坂上さんは、同じように早産を経験した母親たちとともに、神奈川県知事のもとを訪れ、小さな赤ちゃんのための「リトルベビーハンドブック」の導入を要望。
要望を受け、今年9月に配布が始まったハンドブックには、月齢にとらわれずに記念日や成長を記録することができます。
早産を経験 坂上彩さん
「声をあげられずに苦しんでいるとか、1人で頑張っているママたちって、たくさんいると思うので、そういうママたちに届けたい」
現在、5歳になった芽ちゃんは、自閉症や知的障害と診断されていますが、お絵かきや歌が大好きな女の子に成長しました。
医療技術の進歩で、早産で生まれた子の命が助かる例が増えていますが、中には成長がゆっくりな上、病気や障害がある子どももいます。
坂上さんは、こうしたことに社会の理解が深まってほしいと感じています。
早産を経験 坂上彩さん
「こんなゆっくりでも頑張っているよって」
「心や体に障害があることもあるけど、全部この子たちが頑張って生きてきた証し」
「そのまま受け止めてもらえるようになったらうれしい」