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「制限解除」後の生活 海外はどう工夫?

2020年5月14日 7:00
「制限解除」後の生活 海外はどう工夫?

政府は、緊急事態宣言の解除後も、元の生活様式に戻るのではなく、感染予防を意識した新たな生活様式を呼びかけています。では、日本に先立って制限が解除された海外ではどんな工夫をしているのでしょうか。各地の特派員に聞き、情報を集めました。

■フランス:握手やハグはNGへ

フランスでは、5月11日から100キロ以内なら移動が許可証なしで可能となりました。フランスの新しい生活様式としては、握手やハグを避けること。これらはフランス人の習慣ですので、大きな変化です。
また、自転車通勤を推奨しています。自転車の「修理」のために50ユーロ(約5800円)を国が負担します。
やむを得ず公共交通機関をラッシュアワーの時間帯に利用する場合は、雇用者の証明書が必要になるといいます。

■タイ:理髪店ではパーマ・カラーリング不可

タイは今月3日から一部の経済活動が再開され、業種ごとに政府が感染防止策を徹底することを定めています。
例えば飲食店では、客同士の距離を1メートル離すよう求められているのですが、透明の間仕切りを設置する店もあります。

日本では「食事は料理に集中して会話は控えめに」とされていますが、これだと友達の顔も見ることができ、少し会話もできるので、店側の工夫が伺えます。

ほかにも、理髪店ではフェイスシールドを着用して、客との「不要な会話」を減らしています。また、「パーマ、カラーリング」は滞在時間が長くなるため、できません。

■中国:「プライバシーより命が大事」という声も

「美容」をめぐっては、中国でも徹底した対策が見られます。
北京市内の美容院。シャンプーの時もマスクをつけたままです。また、マスクの隙間に髪の毛が落ちないように透明なガードをすることも特徴的です。

試行錯誤しながら営業している様子がうかがえます。
一方、中国でクラスターの把握に効果を挙げているというシステムが。建物の入り口に貼られているQRコードを読み込ると、『異常がない』と表示されました。
これは「健康コード」というシステムで、過去の位置情報の記録などから、その人が感染リスクの高い地域に行っていないか、濃厚接触者ではないかを判別するといいます。各個人がこのコードで緑・黄・赤に色分けされ、危険度が表示されます。緑だと建物への立ち入りが許されるということです。

「健康コード」は中国全土のあらゆる施設で導入されていて、これをクリアしないと会社にもいけないそうです。
中国では「プライバシーより命が大事」と評価する声も多いようですが、日本で全く一緒のやり方は難しいかもしれません。

■韓国:緩んだ警戒感を再び引き締め直す

韓国は保健当局が、80ページに及ぶ細かいガイドラインを発表しています。その一部を紹介します。

例えば、買い物ではなるべく電子決済を使う。これは日本でも同じです。また、カラオケはマイクのカバーを使用して、使い回さない。そして、トイレは「便座のふたをしてから水を流す」と定められているということです。

そして韓国は、これに加えた新しい試みもあるそうで、ソウル特派員の原田記者に聞きました。

原田記者がいるのはソウル中心部、光化門(クァンファムン)という大きな地下鉄の駅構内。ソウルでは、5月13日から地下鉄の中では、混雑時にはマスク着用が義務づけられました。駅構内を見てみますと、「必ずマスクを着用」と、あちこちにポスターが貼られています。

そしてベンチにも、真ん中に黄色いシールが貼られ、「生活の中で距離を置いてください」と、人が密に座らないように呼びかけられています。

マスクを持っていない人はどうするかというと、駅構内の自動販売機などでマスクが買えるようになっています。市内に450台の販売機があり、すべての駅でマスクが買えるようになっています。

別の駅では、マスクを着けていない人が駅員に誘導されてマスクを買い求める姿も見られました。 1枚3000ウォン・日本円で約270円で、薬局よりもちょっと高い値段です。

しかし、日本のN95に相当する医療機関でも使えるような高機能なもので、使い捨てです。

地下鉄を利用する人はかなり多く、ソウル市によると、公共交通機関の利用者は、今は新型コロナウイルス流行前の80~90%まで戻っているということです。混雑がひどくなれば感染リスクも高くなるので、今回、混雑時のマスクの着用を義務化したといういうことです。

それに加えて、朝夕のラッシュ時には、待機車両を投入して混雑の緩和をはかったり、乗車率が170%以上になると、混雑区間では駅で停車せずに通過する措置もとるということです。今日はその水準まで混雑しなかったので、この措置はとられませんでした。
韓国のガイドラインは80ページにもわたりますが、市民に浸透しそうなのでしょうか。ソウル特派員の原田記者はこう語ります。

原田記者「一つ一つ守るのはなかなか大変なことだと思います。消毒やマスクの着用というのは、かなり徹底してやっているかと思うのですが、この防疫対策をいかに生活に浸透させるかというのは課題になると思います。韓国の場合、感染のピークが2月末から始まり、2ヶ月以上もの間、自粛ムードが長く続いてきました。その中で自粛に疲れて、新たな感染者が抑えられている状況もあり、自粛ムードが緩み集団感染が起きてしまったという現状があります。 集団感染が起きたことで、1度緩んでしまった警戒感を再び引き締め直そうという雰囲気になって来ていると思います」

各国が制限を緩める一方で、感染予防対策を具体的に市民に提示して実践しているということが分かりました。日本もよい取り組みを参考にして日常生活を工夫する必要があります。

2020年5月13日放送 news every.『ナゼナニっ?』より