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【解説】“20年以上前の地震”影響も? 伊豆諸島で地震40回以上 携帯したい“防災グッズ”とは

2023年5月23日 23:55
【解説】“20年以上前の地震”影響も? 伊豆諸島で地震40回以上 携帯したい“防災グッズ”とは

22日、震度5弱の地震があった伊豆諸島では、23日も地震が続いていて、これまでに40回以上、発生しています。

◇なぜこんなに続く?
◇“20年以上前”の地震が…
◇“持ち歩ける”備え

以上の3点について詳しくお伝えします。

■子どもの頭に座布団を…東京・利島村で震度5弱

22日午後4時42分ごろ、東京の伊豆諸島・利島村で震度5弱を観測する強い地震がありました。土産物店では大きな被害はなかったものの、子どもの頭に座布団をのせて守るなど、不安を感じる揺れだったと話しています。気象庁によると、震源は新島・神津島近海、深さは11キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.3と推定されています。

今回、大きな被害はありませんでしたが、この地域では、実は22日の午前中から地震が相次いでいて、震度1以上の揺れを観測する地震が、23日午後4時すぎまでに44回発生しています。

この中には、22日夕方の震度5弱の地震と、23日の午前4時半すぎにもあった震度3の地震も含まれています。気象庁は「当分の間、強い揺れを伴う地震に注意してほしい」と呼びかけています。

■噴火につながる可能性は… “火山と地震”密接に関係

今回の地震について、名古屋大学大学院・地震火山研究センターの山岡耕春教授に話を聞きました。そもそも、伊豆半島・伊豆諸島は火山活動や地殻変動が活発なエリアで、その中でも今回、地震が起きた新島・神津島近海は比較的、地殻のずれや変形が集中している箇所にあたると考えられています。つまり、地震が起きやすいエリアです。

その上で、「今回の地震は2000年に起きた“三宅島の噴火”と、マグマの地下の移動に伴う“大きな地震”の影響が、20年以上たった今も残っていて、今回の地震につながった可能性がある」と山岡教授は指摘しています。

2000年7月1日、神津島で震度6弱の激しい揺れを観測する地震が発生しました。この地震では崖崩れが発生し、死者も出ています。その後、7月30日には三宅島で震度6弱を観測する地震が発生しました。同じ頃、三宅島では小規模な火山の噴火が見られるようになり、その年の8月18日には大規模な噴火が発生しました。

火山島が多い伊豆諸島では、やはり火山活動と地震というのは密接に関係しています。山岡教授に聞いたところ、「噴火につながるならもう少し現象が現れるので、今はまだその段階にはない」とのことでした。22日から地震が続いている理由としては、「噴火につながる地震ではなくて、『群発地震』の要素も持っているようにもみえる」ということでした。

群発地震とは比較的せまい地域に頻繁に発生する地震で、前震・本震・余震の区別がはっきりしない、特別大きな地震を含まないもののことをいいます。

山岡教授は「さらに、マグニチュード5.3だった22日の地震の余震も続いているため、比較的、今は地震の数が多いと思われる。今後、余震が減っていくかどうか当面、推移を見守っていく必要がある」と話していました。

■東京都「地域防災計画」4年ぶりに見直し

また、日本は火山だけにとどまらず地震が多い国です。「南海トラフ巨大地震」や「首都直下地震」がいつ起きてもおかしくありません。

そんな中、東京都は首都直下地震などに対する「地域防災計画」を4年ぶりに見直しました。首都直下地震については去年、被害想定が見直され、最悪の場合、都内の死者は約6100人になるとなっています。都は、こうした人的・物的被害を2030年度までにおおむね半減させることを目標にしています。

新しい防災計画では、例えば東京はマンションが多いですが、マンションにとどまる「マンション防災」を普及させるために、非常用電源の確保や地震に強いエレベーターへの更新を促しています。

また、災害時には欠かせない「通信の確保」の一環として、避難所に指定された都立施設などには「Wi-Fi」を設置して、通信を確保することなども盛り込まれました。

■災害への備え…持ち歩ける“3つ”のモノ

災害時への備えについて、アウトドア防災ガイドのあんどうりすさんに聞きました。

まず、1つ目は「モバイルバッテリー」です。スマホは家族などと位置情報を共有したり、災害時の情報を入手したりと欠かせない存在です。そのスマホの電源を切らさないために必要です。もちろん、こういったモバイルバッテリーも常日頃から充電しておくことが大事です。

2つ目は「携帯トイレ」です。ほとんどの人が4~5時間に1回、トイレに行くそうです。多少の空腹は我慢できますが、トイレは何時間も我慢できないですよね。あんどうさんは「トイレの確保は『生き残った後に一番大切なもの』」と話しています。また、災害時に配管が壊れている中でトイレを使用すると汚物が道にあふれる可能性があり、電車の中やエレベーターなどトイレがない場所で被災することもあるため、携帯トイレを持っておくといいそうです。

そして3つ目は「レインウエア」です。ぬれることで体温が下がれば、低体温症など命に関わる事態にもなりかねません。災害時は「まず、ぬれないという意識」が大切だといいます。これから梅雨も来るので、普段使いできるレインウエアを常備しておくといいかもしれません。

   ◇

大前提として、家具の位置を見直したり固定したりすることも重要です。その上でこれらの備えは持ち歩けますし、地震だけでなく、水害など災害時全般で使えるものです。普段からカバンに入れておくことを心がけたいです。

(2023年5月23日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)