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パンダの「シャンシャン」旅立ち 成田空港にファン集結…最後のお見送り 中国“パンダ一色の街”は歓迎 

2023年2月21日 21:14
パンダの「シャンシャン」旅立ち 成田空港にファン集結…最後のお見送り 中国“パンダ一色の街”は歓迎 

21日、東京・上野動物園のジャイアントパンダ「シャンシャン」が中国に返還されるため、成田空港を飛び立ちました。空港の展望デッキには、最後のお見送りをするファンたちの姿が…。一方、シャンシャンが暮らすことになる四川省の街は、“パンダ一色”の街でした。

     ◇

2017年6月、ジャイアントパンダのシャンシャンは上野で生まれ、上野で育ちました。その人気は、まさに“社会現象”でした。街も、シャンシャンの成長を喜ぶ声に包まれました。

そんな“上野のアイドル”との別れの時が、ついに訪れたのです。

21日午前6時40分すぎ、シャンシャンはたくさんの職員に見守られながら、トラックの荷台へと入りました。動物園の外には午前6時ごろにもかかわらず、大勢のファンが集まっていました。

シャンシャンのファン・中野晴世さん(72)は、別れの日を特別な思いで迎えました。

中野晴世さん
「シャンシャンは何時間並んで、1分しか見られないけど、でもやっぱり(その分)値打ちが高まって、高まって…っていうのがあったと思う」

一緒に見送りした人
「いま思えば、ぜいたくな時だったね」

中野さん
「そうそう。本当に…」

中野さんは旅行で訪れた際、たまたまシャンシャンを見て一目ぼれしたといいます。それ以来、関西の自宅から月に1度は来園し、成長を見守り続けていました。

そして午前7時15分ごろ、約300人のファンに見送られ、シャンシャンを乗せたトラックは、5年8か月過ごした“生まれ故郷”上野を出発しました。集まった人の中からは「シャンシャン!」と呼びかける声があちこちから聞かれました。

     ◇

ここでお見送りは終了かと思いきや…中野さんの姿は成田空港へ向かう車内に。思いを語りながら、ハンカチで目を拭っていました。

中野さん
「飛び立つのを見たら、『行ったんだな』と思いますし…『今までありがとう』っていうことですかね、本当に」

成田空港では、中野さんと思いを同じくするたくさんの人が飛行機が見える展望デッキに集結しました。そして、“最後のお見送り”が行われたのです。

午前11時20分ごろ、シャンシャンが入ったコンテナが飛行機の中へ運ばれました。そして午後0時45分ごろ、飛行機が離陸すると、展望デッキのファンからは「シャンシャン、ありがとう!」という声が上がり、中野さんは飛び立つ飛行機に向かって手を振っていました。

中野さん
「(シャンシャンは)生きがいでもあったし、生活する上で会いに行く予定を立てるのが楽しみだったし。幸せを願って『さようなら』って言いました。『(中国に)会いに行くよ!』って、心の中で叫びました」

     ◇

5度の延期を経て、シャンシャンは中国へと返還されました。パンダの保護研究センターがある四川省・雅安市に向かったシャンシャン。一体、どのような所なのでしょうか。

NNN雅安 森本隼裕記者
「街中には、至る所にパンダのオブジェがあります。そして橋にかかるアーチには、かわいらしい“パンダの耳”(の形の飾り)が付いています」

「パンダ大通り」と名付けられた道路には、車体にパンダがあしらわれたバスが通り、橋にはパンダのモニュメントがずらりと並んでいます。

地元の人
「パンダは雅安の宝です。私のふるさとのシンボルはパンダだよ」

まさに雅安は、“パンダ一色”の街。街の人からは、シャンシャンを歓迎する声が多く聞かれました。

街の人
「日中関係から見るとパンダが日本にいるのはいいことですが、中国に戻ってくるのも歓迎します」