ワクチン日給17万円も…医師確保へ一手
自治体や職場で集団接種が広がりますが、懸念は打ち手の不足です。北海道釧路市では日給を17万円以上と高額に設定し、医師を確保しました。東京では医師不足を見据えて救急救命士らへの研修も。一方、東京では土日の求人に医師から応募が殺到しています。
■職場接種で「社員家族」OKも
有働由美子キャスター
「打ち手の医師を確保するため、日給17万円以上と高額な報酬の求人を出す自治体も出てきています。その事情には何があるのでしょうか」
22日から神奈川県横浜市にある化粧品・健康食品メーカーのファンケルで、職場での接種が始まりました。会場には社員ではなく、社員の家族の姿もありました。
夫が社員という女性は「娘はまだ小さいので接種対象になっていないのですが、私たちが打てば安心かなという風に思っています」
社員の同居家族も接種可能としたため、約500人の家族が予約しました。
■釧路市民「金額よりも…」安心
広がる集団接種で、懸念されているのが打ち手の不足です。
65歳以上を対象とした集団接種を始めた北海道釧路市では、異例の高額報酬を設定して求人情報を出していました。ワクチンを接種する医師の日給を、期間限定で17万5000円としていました(募集は終了)。
市の担当者は「市内だけで医師を確保するのが難しいということと、飛行機に乗って釧路市に来ていただくことになると、関東とか大都市圏などの医師の報酬とはまた違った形でうちも出さないと、医師の方に来ていただけない状況です」と説明しました。
結果、全国から多数の応募があり、釧路市以外では東京都や長野県、京都府などから73人の医師を採用。必要な数を確保できました。
接種を受けた市民は「金額よりも、スムーズにそういう形でお医者さんに協力していただけるなら、まずは安心」と話しました。
■救急救命士らも「打ち手」期待
東京・墨田区で22日夜、救急救命士や臨床検査技師らを対象とした、ワクチン接種の実技研修がありました。指導する医師が「皮膚をつままないようにして、垂直に持って狙い通りに刺します」と説明していました。
厚生労働省は、救急救命士らによる接種を特例として認めましたが、筋肉注射の経験がないため、必要な研修を受けることを条件としています。
参加した救急救命士
「やり慣れない処置ではあったので、どうしてもちょっと緊張はしました」
墨田区保健所長
「これからどんどん集団接種を加速させていきますので、医師・看護師が足りない時にご協力いただければ」
■土日の医師求人に応募「殺到」
打ち手の確保が急がれますが、東京で求人に応募した医師からは意外な声が聞かれました。
小児科医
「例えば10件応募したとして、5件落ちて5件で採用になるイメージ」
応募しても、なかなか採用されないといいます。
小児科医
「勤務が終わった後、もしくは勤務がない日にお手伝いに行くというような形なので、日中勤務しているのであれば、日中の案件には応募できないですし、土日の案件も確かにありますけれども、そちらはかなり倍率が高い」
土日の求人に応募が殺到しています。打ち手を確保するためには、土日や夜間の活用も求められています。
(6月22日『news zero』より)