それでも…牛が好き
鳥取県で和牛の繁殖農家を営む生田智之さん(23)。実家はかつて県最大の和牛繁殖農家だった。しかし、休日のない牛飼い…中学生の時、父と祖父が相次いで亡くなり、廃業に追い込まれた。それでも生田さんは2人と同じ道へ。生田さんにとって牛を飼うこととは…? 家族とは…?
牛飼いの仕事に人生を懸けていたお父さんは、突然、亡くなりました。
生田智之さん
「なかなか、受け入れられてなかったですね」
それでもかなえた牛飼いになる夢。
智之さん
「(目標は)お父さんとかの実績を超えることなんで。ゴールは全然、果てしなく遠いんだろうなとは思いますね」
「生田畜産」の生田智之さん。好きなことは、とにかく牛!
智之さん
「これは『白鵬85の3』」
――顔でわかるの?
智之さん
「はい、白鵬だけは…ふふふ」
白鵬85の3。5年に1度開催される“和牛オリンピック”で、日本一に選ばれた鳥取県が誇る、最強の種雄牛です。実は、お父さんが誕生させた牛です。
智之さん
「白鵬85の3を超えるような種雄牛を作れたらいいと思っています」
幼い頃からお父さんを手伝い、優秀な牛が育つのを見てきました。しかし――。
母・千賀子さん
「突然に主人が亡くなって、おじいさんも亡くなって。すべて無くなったっていうときに、やっぱり(牛飼いを)やりたいって」
父・和史さんは、心筋梗塞のため43歳で亡くなりました。4か月後、祖父・英則さんも、後を追うように、この世を去りました。
「生田畜産」は廃業。150頭を超える牛は、すべて売り払いました。智之さんが、中学1年生のときでした。
母・千賀子さん
「楽な仕事ではないし、毎日、泥だらけになりながらの仕事だし、同じ牛が好きって言うのであれば、『大きな農家さんのところに入って仕事するんでもいいんじゃないの?』っていう気持ちは正直ありました」
智之さん
「自分の牛がほしいので、やっぱ自分でやりたいっていう気持ちの方が強いです」
2020年4月、農大を卒業した智之さんに牛舎を貸してくれたのは、小さい頃から知る小谷さん。
小谷和史さん
「笑ったところが、お父さんそっくり。お父さん、おじいさんを師匠だと思ってたんで、勝手に。それの恩返しができたらなと」
智之さん
「絶対、来た!」
やってきたのは、初めて競り落とした6頭のメス牛。21歳、念願だった自分の牛舎。借金もたくさんしました。
独り立ちから、2か月。和牛農家になって初めての出産。
「がんばれ!」
「よいしょ!」
でも子牛は、息をしてくれませんでした。お父さんたちがしてきた仕事。その重さと、尊さを、初めて感じました。
智之さん
「あのー、まだ籍は入れてないんですけど、結婚することになりました」
あの時のお産を一緒に経験し、落ち込む知之さんを支えてくれたのが、妻となった弥姫さん。どんなに寒くても、どんなに休みたくても、牛の世話は続きます。
――前回はいつ休んだ?
智之さん
「毎日、餌やりとかするんで、まだ休んでないですかね」
和牛農家になって1年。いよいよ、育てた牛を競りに出します。
アナウンス
「82万5000円です」
子牛2頭で162万円。和牛農家になって初めての収入です。
智之さん
「予想よりすごい高くてよかったです」
3年目を迎えた智之さん。生まれた子牛は、すでに30頭以上。
妻・弥姫さん
「おててであげたら? 上手! こうやって一緒にしてくれるの、うれしい?」
智之さん「うん、そうだな」
自分の家族も、2人増えました。
尊敬するお父さん。少しだけ近づけた気がしました。毎日泥だらけでも、困難があっても、それでも…牛が好き。
2022年12月4日放送 NNNドキュメント’22『それでも…牛が好き』をダイジェスト版にしました。
生田智之さん
「なかなか、受け入れられてなかったですね」
それでもかなえた牛飼いになる夢。
智之さん
「(目標は)お父さんとかの実績を超えることなんで。ゴールは全然、果てしなく遠いんだろうなとは思いますね」
「生田畜産」の生田智之さん。好きなことは、とにかく牛!
智之さん
「これは『白鵬85の3』」
――顔でわかるの?
智之さん
「はい、白鵬だけは…ふふふ」
白鵬85の3。5年に1度開催される“和牛オリンピック”で、日本一に選ばれた鳥取県が誇る、最強の種雄牛です。実は、お父さんが誕生させた牛です。
智之さん
「白鵬85の3を超えるような種雄牛を作れたらいいと思っています」
幼い頃からお父さんを手伝い、優秀な牛が育つのを見てきました。しかし――。
母・千賀子さん
「突然に主人が亡くなって、おじいさんも亡くなって。すべて無くなったっていうときに、やっぱり(牛飼いを)やりたいって」
父・和史さんは、心筋梗塞のため43歳で亡くなりました。4か月後、祖父・英則さんも、後を追うように、この世を去りました。
「生田畜産」は廃業。150頭を超える牛は、すべて売り払いました。智之さんが、中学1年生のときでした。
母・千賀子さん
「楽な仕事ではないし、毎日、泥だらけになりながらの仕事だし、同じ牛が好きって言うのであれば、『大きな農家さんのところに入って仕事するんでもいいんじゃないの?』っていう気持ちは正直ありました」
智之さん
「自分の牛がほしいので、やっぱ自分でやりたいっていう気持ちの方が強いです」
2020年4月、農大を卒業した智之さんに牛舎を貸してくれたのは、小さい頃から知る小谷さん。
小谷和史さん
「笑ったところが、お父さんそっくり。お父さん、おじいさんを師匠だと思ってたんで、勝手に。それの恩返しができたらなと」
智之さん
「絶対、来た!」
やってきたのは、初めて競り落とした6頭のメス牛。21歳、念願だった自分の牛舎。借金もたくさんしました。
独り立ちから、2か月。和牛農家になって初めての出産。
「がんばれ!」
「よいしょ!」
でも子牛は、息をしてくれませんでした。お父さんたちがしてきた仕事。その重さと、尊さを、初めて感じました。
智之さん
「あのー、まだ籍は入れてないんですけど、結婚することになりました」
あの時のお産を一緒に経験し、落ち込む知之さんを支えてくれたのが、妻となった弥姫さん。どんなに寒くても、どんなに休みたくても、牛の世話は続きます。
――前回はいつ休んだ?
智之さん
「毎日、餌やりとかするんで、まだ休んでないですかね」
和牛農家になって1年。いよいよ、育てた牛を競りに出します。
アナウンス
「82万5000円です」
子牛2頭で162万円。和牛農家になって初めての収入です。
智之さん
「予想よりすごい高くてよかったです」
3年目を迎えた智之さん。生まれた子牛は、すでに30頭以上。
妻・弥姫さん
「おててであげたら? 上手! こうやって一緒にしてくれるの、うれしい?」
智之さん「うん、そうだな」
自分の家族も、2人増えました。
尊敬するお父さん。少しだけ近づけた気がしました。毎日泥だらけでも、困難があっても、それでも…牛が好き。
2022年12月4日放送 NNNドキュメント’22『それでも…牛が好き』をダイジェスト版にしました。