コロナとインフル 同時流行を防ぐには?
今年は新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念されています。
■インフルワクチン供給量は“過去最多” 焦らないで
23日からぐっと寒くなりました。東京の最高気温の推移を見てみると、18日は猛暑日一歩手前の暑さでしたが、24日は22.2℃。平年と比べてもぐっと低く、10月中旬並みの寒さだということです。
気温が下がり、町の人からはこのような声も聞かれました。
「今度インフルエンザがはやってくると思うので、そことの兼ね合いは心配。ワクチンができるまでは不安」
新型コロナウイルスのワクチン開発が待たれますが、寒い季節になると、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念されます。
今年はコロナもありますので、インフルエンザワクチンの接種を希望する人が医療機関に殺到しないよう、厚労省は次のように呼びかけています。
接種時期の目安については、10月1日からは、65歳以上の高齢者や60歳から64歳の心臓や腎臓、呼吸器に重い持病がある人が優先。
また、10月26日からは誰でも受けられますが、医療従事者や基礎疾患がある人、妊婦、生後6か月から小学2年生の子どもに早めの接種を呼びかけています。
これはあくまで目安であり、かかりつけ医によく相談してください。 さらに今年は、6356万回分の供給を見込んでいます。これは、今のワクチンの接種が始まってから最多です。無くなってしまうことはないため、焦らないで欲しいです。
■厚労省と小児科医会、わかれる見解
ただ、小さい子どもは10月26日からと厚労省が分類しており、この呼びかけに対して日本小児科医会は「小児への接種時期を一律に遅らせることは避けるべき」という見解を示しています。というのも、日本感染症学会は、ハイリスクな人や乳幼児から小学校低学年までの接種を強く推奨しているからです。
乳幼児はインフルエンザ脳症のリスクがあることから「ハイリスク群」であり、優先順位は「高い」と言っているのです。 厚労省の示した接種時期はあくまで目安ですから、医療機関ごとに誰がどの時期に接種するかを判断していいのではないか、と指摘してます。
この冬、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行すると、発熱やせきの症状は両方の可能性があるため、症状からどちらかを判別するのは難しいです。
■コロナとインフル 同時に検査できるキット
そんな中、活躍が期待されているのが、新型コロナウイルスとインフルエンザ両方の検査を同時にできる検査キットです。
呼吸器の感染症を引き起こす病原体21種類を同時に検知できるそうです。検査時間は機器にセットした後、わずか45分だといいます。
ビオメリュー・ジャパン・松田宇翔さん
「感染管理をどうするか(結果次第で)病院内での管理が変わってくる。一度にすぐに検査ができるのはメリットだと考えています」
検査の結果を待っている間、病院側はどちらも想定して患者を受け入れなくてはいけないため、医療現場での混乱が危惧されています。特に、重症患者などが運び込まれる救急病院や大学病院などで現在活用されているということです。
■インフル患者 「5738人」が「4人」に激減
一方で、今年はインフルエンザの流行の仕方が例年と違います。
2019年の9月上旬の一週間で感染研が定点観測している約5000の医療機関で、インフルエンザにかかった人の報告数は5738人でした。1つの医療機関から1人患者が出るくらいです。 ところが、今年は同じ時期に「4人」でした。
減少している理由について、感染症が専門の水野泰孝医師は、一つは新型コロナウイルスの影響で例年以上に「感染対策をしっかりしたことではないか」としています。手洗い、マスク、咳エチケットをしっかりやってきました。
もう一つは、「輸入インフルエンザ」がなかったということです。 毎年夏場に東南アジアなどからウイルスが持ち込まれますが、今年は海外からの観光客が途絶えて流行がみられなかったのではないかといいます。 実際、過去5年の患者の報告数をみると、例年1月ごろがピークで、4~5月ごろまで一定数の患者がいますが、今年は3月ごろから少なくなっています。
新型コロナウイルスが流行してから海外からの観光客は減り、入国制限もしました。とはいえ、今はインフルエンザ患者が少ないとはいっても、警戒を緩めてはいけません。新型コロナウイルスもインフルエンザも、基本の感染対策は同じ、手洗い、マスク、咳エチケット。ぶれないように感染対策してほしいです。
(2020年9月24日 16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)