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65歳以上の5人に1人が認知症に…岸田首相“幸齢社会”実現へ対策会議立ち上げ 世界初の新薬…高額な値段も議題に 【#みんなのギモン】

2023年9月27日 22:25
65歳以上の5人に1人が認知症に…岸田首相“幸齢社会”実現へ対策会議立ち上げ 世界初の新薬…高額な値段も議題に 【#みんなのギモン】

27日のギモンは「認知症対策…国は何をする?」です。

日本は世界でも群を抜く「超高齢社会」ですが、その中の大きな課題が認知症への対策です。岸田首相はこれを「新たな国家プロジェクト」と位置づけていて、27日に会議を立ち上げました。

首相官邸で行われた会議で岸田首相は、「岸田政権では、安心して年を重ねることができる高齢社会づくり、これを進めてまいります」と述べました。

会議名は「認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議」です。会議には専門家だけでなく、認知症の当事者やその家族、介護の関係者も出席しました。

27日のポイントはこちらです。

◇患者が増える “5人に1人”
◇対策会議 新薬も議題に

■ひとごとではない「認知症」 2060年には患者数1000万人超え

認知症がいかに自分事として考えなければいけないものなのか、現状をみていきます。65歳以上の認知症の患者数が今後どのように増えていくかの推計をみると、今から2年後の2025年には730万人。そして2040年は953万人と1000万人に近づき、2060年には1000万人を大きく超えて1154万人になるとみられています。(※平成29年度版高齢社会白書より)

直近の2025年には、65歳以上の5人に1人が認知症になるとされています。ひとごとではないということわかっていただけたでしょうか。

街の人にも聞きました。

母(70代)
「身近に感じますね」

娘(40代)
「誰しもあるかなって。やりたいことが制限されないような社会が大事かな」

70代
「やっぱり認知症は怖いですね。ほかの方に迷惑をかけちゃうといけないので。娘が1人しかいないので、やっぱりその負担をかけるわけにはいかない」

娘(30代)
「介護の問題とか難しいと思うので、認知症の方も増えてくると思うので、そういうところで手助けがしてもらいやすくなったらうれしい」

岸田首相が認知症にどう対応していくのか気になりますが、先月、岸田首相は認知症の人を受け入れている施設を視察し、意見交換をしました。

岸田首相
「認知症に関する正しい知識と、そして認知症の方に対する正しい理解を深めるための普及啓発、そして認知症の方々、ご本人による発信、これらが大きな柱だと考えています」

参加者
「いいことですね」

岸田首相
「ありがとうございます」

■認知症の新薬「レカネマブ」 承認されたものの課題も

27日に第1回を迎えた会議で今後、どのようなことが話し合われるかというと、国としての支援体制や認知症の理解の促進、そして治療法など幅広いテーマで、年末をめどに対策の取りまとめなどを行うことになっています。

ここで2つめのポイント「対策会議 新薬も議題」をみていきます。

対策会議では、新薬も議題にあがりました。日本の製薬会社「エーザイ」などが開発した「レカネマブ」についてです。25日に正式に承認され、認知症で最も多いアルツハイマー病に対する世界初の治療薬です。

どんな効果があるかというと、アルツハイマーは脳の中で神経細胞を破壊する「アミロイドβ」というタンパク質が原因となりますが、レカネマブは原因物質にくっついてそれ以上増えないようにしたり、取り除いたりできるというのが大きな特徴です。この効果によってアルツハイマー病を治すことはできませんが、進行を遅らせることが期待できるということです。

ただ、承認はされたものの課題もいくつかあります。

まずは価格の問題です。すでに7月に承認されたアメリカでは、患者1人あたり年間2万6500ドル、日本円で約390万円とかなり高額です。保険が適用され3割負担でも約117万円となり、手が届きにくい価格です。

そしてまさに27日、厚生労働省の審議会でレカネマブの薬価(=薬の価格)を決める議論がはじまりました。今後3か月以内に価格が決まり、供給は年内にという見込みです。

■少ない検査設備 医療機関が全国にわずか数十か所

多くの人が使えるようになるには、価格以外にも課題がありました。

診断・検査へのハードルです。レカネマブを使うには医療機関で検査をして、「アミロイドβが検出された」という医師の診断する過程が必要となります。

ところが、この検査の設備が整っている医療機関が全国でわずか数十か所とかなり少ないのが現状です。

しかもレカネマブは「軽度の認知症」と認知症の手前の「軽度認知障害」の状態で投与することで効果があるとされています。進行する前に早く見つけることがカギになってくるのに検査できる場所がない、それだけ早期発見できる機会も失われるわけです。

こうした課題について会議で岸田首相は必要な検査態勢、医療提供体制の整備について厚生労働相に「具体的に検討を進めてもらいたい」という話もしていました。

今回の認知症対策、財源など実現に向けた議論はこれからです。かけ声倒れに終わらないよう、この議論をしっかりみていきましょう。

(2023年9月27日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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